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内容説明
・不当なデータ収集や不当なデータ囲い込みが独占禁止法上問題となる
・検索サービスやSNSは、消費者とプラットフォーム企業の間の取引関係と位置付けることができることから、独占禁止法の適用対象
・消費者に対して優越的地位にあるプラットフォーマーが消費者の利益に反して不当に個人情報を収集する場合には独占禁止法の優越的地位の濫用規制の適用
――本書第3章より
○デジタル化の進展とグローバル化で、公正取引委員会(公取委)の競争政策は大きく変化しており、対象とする経済活動も広範囲に及んでいる。
○とくにGAFAに代表される巨大プラットフォーマーに対する政策は、国際連携も含め、日本経済に多大な影響を与えるため、その動きから目を離せない。日本が負けているデジタル人材の争奪戦にも競争政策の網がかかろうとしている。
○本書は、現職の公取委委員長が、現在進行している競争政策の土台となる考え方・取り組み方を示したもの。IT業界だけでなく、あらゆる企業がデジタル変革(デジタルトランスフォーメーション)で生き残りを図っている現在、すべての経営層の必読書。
○競争政策が必要な理由、日本経済の環境変化から競争政策のツールを平易に解説。その基礎知識を基に、デジタル時代の競争政策を解説する流れで、事前知識がなくとも読みこなせる内容となっている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はるわか
12
著者は財務次官を経て現公取委委員長。「競争なくして成長なし」「反競争的状況の下では企業のイノベーション努力へのインセンティブが削がれ、努力を怠りがちになる」「日本経済を強くするための競争環境を整備し、競争市場というインフラが損なわれないようにすることが競争政策の役目だと思っている」「競争とは、人々の側に選ぶことができるという選択肢があることを担保することにより、企業にこうした人々のニーズを掘り起こし、消費者のニーズに応えようとするために行動しなければならないというインセンティブを与える枠組」2020/02/14
templecity
9
ITの時代になってデータ独占による寡占化が進むと言われているが、格差社会解消のためにもある程度の公平な競争社会を維持することは重要と思われる。最近は談合が行われていても情報提供すれば提供順に課徴金が減るような仕組みも導入している。複数の国にまたがる寡占化の恐れのある事業の場合は、それぞれの国で当局への申請が必要だ。でも明らかに昔よりも独占化が進んで切るように思える。 2019/11/25
izw
9
「デジタル時代」の競争は必要だろう、という感覚はあり、政策とは何だろうとあまり考えずに読み始めたが、独禁法、公正取引委員会の話が中心だと思って初めて著者紹介をみたら、公正取引委員会の委員長に就任されている人だった。日本の競争法である独占禁止法の内容についての紹介がまずあり、競争当局である公正取引委員会での活動を紹介している。デジタル時代になってもその重要性が変わらない、というより、ネットワーク効果で独占的になりがちでますます重要になる、という趣旨で、公正な企業活動を支える仕組みを再認識した。2019/11/13
yu12418
1
タイトルのような具体的な政策についてではなく、独禁法を通して公取委が何を実現していくかについて書かれたもの。 つまるところ、法の趣旨どおり公正な競争状態を維持することがイノベーションを創出する土台になるとのこと。 独禁法の概観を知るにはちょうどいい内容だと思った。2021/09/03
suma2021
0
競争があるため、企業は成長、発展へのインセンティブが働き、その結果イノベーションが創出され経済成長に結びつく。 テクノロジーの発展とグローバル化の進展により未来の経済成長の礎となるデータは、GAFAを筆頭とするメガプラットフォーマーが寡占しつつあります。そこでデジタルエコノミー時代の競争戦略はどうなるのでしょうか。 本書は突っ込んだ提言はありませんが、独占禁止法の基礎からデジタル時代の情勢まで述べられています。データポータビリティの枠組みをどうするかが、重要な視点かと感じました。2019/10/23