- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
「臥薪嘗胆」「呉越同舟」など、数多くの故事を生んだ中国春秋時代の呉と越の戦い。その戦いにおいて、卓抜した軍才と優れた政治手腕で越に勝利をもたらし、越王句践に覇をとなえさせた名将が范蠡である。しかしのちに王との確執から官を辞し、商人として巨財を築くもその富を周囲に分け与えるなど商人の鑑としても名を残した。いわば、軍師と豪商の二つの人生を成功させた稀有の才能をもった、中国の歴史上でも類稀な人物といえる。本書は、そんな范蠡の稀有にして波瀾に満ちた生涯を、雄渾な筆致で描き出した長編歴史小説である。日本でも、南北朝騒乱の時代、南北朝方の忠臣・児島高徳は、隠岐に配流された後醍醐天皇の館の庭の桜の木に「今の時代にも句践王を支えた范蠡のごとき忠臣がいます」と書して天皇を激励したという故事がある。中国のみならず、日本においても、その忠臣ぶりは著名だったのである。PHP文庫書き下ろし中国人物シリーズ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糜竺(びじく)
47
中国の春秋時代の歴史小説です。主人公の范蠡は越国の名将であるとともに、裸一貫で越を去ったのち、商売をして巨万の富を築いた実業家でもあります。それも、金が溜まると惜しげもなく周囲に分配してやり、無一文からまた巨材を築く、という離れ業をやってのけた人物です。戦には強く、商売には巧み、非常に魅力的な人物でした。とても波瀾万丈の生涯だったので、読んでいて引き込まれました。勾践、華康、文種や、有名な孫子の兵法を書いた天才軍師の孫武など、様々な魅力的な人物達も登場し、非常に読みごたえのある作品だったと思いました。2017/07/26
BIN
5
PHP文庫の中では最高傑作の一つではなかろうか。稀代の戦術家、戦略家、政治家、実業家である范蠡の物語。呉の話が半分近くあるが、斉侵攻も含め他書よりよく書かれている。また范蠡の戦のシーンもよく書かれていて正直PHP文庫には思えない良い作品(PHP文庫はよくも悪くも教科書的記述が多い。好きですが)。范蠡のことはそこそこ知ってはいたけど、非常に楽しめました。2011/11/15
elf51@禅-NEKOMETAL
3
范蠡は春秋時代の軍師である。越王の覇を支えた名将であるが,後年は越王の変節を嫌って袂を分かち,国を出る。その後,陶朱公と名乗り,商人として大成功するというなんとも魅力的な人物である。主に仕える者と,人を使う者としてのあり方に絶妙のバランスを持っていた人。その姿が,戦の歴史と共に描かれる。腹心の部下,盟友との交流など熱い話に少しだけ加えられるロマンスと,物語の部分も描かれている。当時の戦は「地」が重要な要素であるのが分かる。壮大な中国大陸をバックに想像力も広がる面白い本だと思う。2019/07/05
P-man
2
初めての作家さんだったけど、詰まるところもなくスッキリ読めておもしろかったです。史記には王に殺される国の功労者はうんざりするほど頻出するけど、この人は珍しく(他は范雎くらい?)長生きに成功したんですね。華康はオリキャラかな。やはり政治と軍略だけではアレだったので、猛将が欲しかったの?でもいいキャラクターでした。あと伯嚭は強欲で不誠実な人として描かれているけど、范蠡の晩年エピソードを知ると、お金でギブ・アンド・テイクできるならそれがシンプルで確実な場合もあるんじゃないかな、みたいなことも思ったり……w2020/06/11
中島直人
1
呉の側から語られることの多い呉越の死闘を、越の側から見ることが出来たのは非常に新鮮な印象。圧倒的な華康との活躍も爽快そのもので、一気に読み切ることが出来た。ただ、范蠡が始めから完成された人格として描かれていて、その成長の過程を追えなかったのが少し物足りない。2012/08/10
-
- 電子書籍
- 剣に焦ぐ(15) サイコミ×裏少年サン…
-
- 電子書籍
- 少年サンデーS(スーパー) 2021年…
-
- 電子書籍
- 戦場まんがシリーズ スタンレーの魔女 …
-
- 電子書籍
- 夢色パティシエール 12 りぼんマスコ…