内容説明
8歳でヴァイオリンと出会い、コンクール漬けの青春はチェコ留学で一変、移住したメキシコで子どもたちに音楽を教え、帰国後は世界視点で日本を刺激し続ける稀有な一生。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
28
今年79歳の黒沼先生が、人生を振り返る。18歳でチェコに留学し、その後、メキシコに渡って現地の子供たちへのヴァイオリン教育に心血を注ぎ、そして今、帰国し、日本とメキシコの橋渡しに活躍されている黒沼先生の人生は、ヴァイオリニストとか音楽家とかの枠を遥かに超えた、人類への愛と情熱に満ちていて心を打つ。日本では、鷲見三郎先生から「音程、音程!」と言われ続けたのに、プラハでダニエル先生からは「歌え、歌え!」。「音学」ではなく「音楽」の喜びに目覚め、それが、人への愛、異文化への敬意へと発展する。天晴な人生に、弥栄!2019/10/09
S.Mori
10
ヴァイオリニストの黒沼ユリ子さんの人生を聞き語りとしてまとめた本です。波乱万丈という言葉がぴったりです。チェコに音楽留学し、そこでメキシコ人の男性と結婚、その後メキシコに移住して、学校を開きます。その後は学校をたたんで日本に帰国し、メキシコとの友好に努力されています。音楽を通して世界とつながる姿勢に心を打たれました。言葉抜きで世界中の人との交流できる音楽という表現はやはり素晴らしいものだ、と改めて実感します。いろいろなご苦労も経験されたと思いますが、それを感じさせない前向きな語り口に勇気づけられました。2019/11/30
うさっぴ
3
小さい頃からヴァイオリンをひかれて、プロとしてご活躍されていて、すごいなと思いました。2019/12/03
niki
2
このシリーズは気が向いたときに読むようにしている。失礼ながらこの方は存じ上げなかった。冒頭の写真の黒沼さんのお顔、人柄がにじみ出ている。 順調に世界に出ていく姿は気持ちがいいが、一番惹かれたのは彼女がバイオリンを教える姿と考え方だ。彼女は人に騙されるが、そんなことにはめげずにたくましく立ち上がり問題に立ち向かい、信念に基づいて戦う。その姿が明るく清々しい。たくましく柔軟な人だと感じた。2023/03/07
crane155
0
「四十年以上暮らしたメキシコで覚え、呪文のように何度も唱えた言いまわしに 〈悪いことは、良いことのためにしかやって来ない〉 というのがあります。きっと大変なことが私にあって、しょぼくれていた時に、心配するなよ、必ずいいことになるから、と、誰かが教えてくれたのでしょう。以来、この言葉を支えにしてきました。メキシコにはもう一つ、 〈アイ・デ・トード(どんなことでもあり)〉 という言葉もあります。あそこは、人種の坩堝で、多様性と自由を大切にするのです」p.2〜2020/06/21