内容説明
若狭の国の貧しい農家に生れた栂尾さくは、琵琶湖の北端にひっそりと水をたたえた余呉の湖の近くの蚕の糸とりの家に、糸取り娘として奉公に出る。そこで、同じく若狭出身の宇吉にめぐり会うことにより、さくは新たな運命の糸にもてあそばれていく……。三味線糸生産地の風土を背景に、悲痛な女人像を浮かび上がらせ、哀しみと詩情をこめて描いた人間愛が、哀切な琴の音をひびかせる長編ロマン、悲恋物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
12
若さの貧しい農家に生まれ、養蚕家に奉公に出た女性さくの薄幸の人生を描いた小説。さくは養蚕家で一人の男性と出会い、恋に落ちるのですが彼と一緒になることはできません。結末は胸が痛くなるような悲しいもので、さくの境遇に深く同情しました。この世では、さくは好きな男性に添い遂げることはできません。でも、あの世ではそれが可能になったのだと思いたいです。作者もそれを願った書き方になっています。ここに書かれているように、不幸な人生を送った無名の庶民たちの思いを掬い上げて、物語にするところに水上勉の素晴らしさがあります。2024/01/12
-
- 電子書籍
- 花ぶら日記 その4
-
- 電子書籍
- 奇跡のブドウ~農家の嫁、始めました~愛…
-
- 電子書籍
- ジャンプSQ. RISE 2021 W…
-
- 電子書籍
- ザ・ボルダー(3)
-
- 電子書籍
- スペインのシンデレラ【ハーレクインSP…