内容説明
舅にできた女友達を通して昔の恋人に再会した和香子。女癖が悪く甲斐性のない別れた夫を思い切れない千絵子。ふと知り合った男と梅の古木を見にいく律子……。平穏な日常のなかで、女の心にはひそやかに蕾が育まれ、躰(からだ)の奥では小さな焔(ほのお)が燃え続ける。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
95
舅に出来た女友達を通して昔の恋人との再会を果たした和香子、女癖が悪く甲斐性のない別れた夫を思いきれない千絵子、偶然知り合った男と梅の古木を見に行く律子、結婚指輪を外したことで結婚詐欺の男に出会う雅代、思わぬ出会いでダイエットに挑む多鶴子等、いくつになって恋心はある、「オバサン」と呼ばれる年代になっても。誰かに愛されたい、誰かを愛したいという思いは、きっと死ぬまで消えることはない。平穏な日常の中でも、女の心はほのかに心の奥底で燃えている。さすが、藤田宜永は女性の心理描写が上手い、女心の分った作家の作品だ。2022/10/27
kozy758
7
中年女性の恋物語もなるほどと素直に面白かった。『うどん』『扇子の秋』『ちぎる』が特に心に残った。若くもなく、老いてもない女たちの揺れる心がまぶしく、愛おしかった。2015/09/10
じいじ
3
7編の四十路の女心を描いた短編集。 藤田宜永ならではの「女の恋心」が描かれている作品。 ★★☆2012/06/13
FumiSUN
0
☆72017/12/15
市井一人
0
オンナは一生のうちに何度も生まれ変わる。そして、それぞれの時期と場面に応じて、いくつもの顔を持つ。 男にとっては、それが魅力で、不可解で、麻薬的である。 思考の中心が子宮でない人には決して理解できないものだと思う。 と、「女」の描きかたを考えさせられた。2021/06/21