内容説明
虚数(i ,imaginary number)とは、2乗すると-1になる奇妙な数。しかしこの数は、コンピューター社会で重要な役割を果たし、ホーキングによれば、宇宙は虚数の時間からはじまったとされるほど、重要な概念なのだ。SFさながらのエキサイティングな虚数の世界。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やっさん
107
★★☆ 中等数学で、学習者は《未知との遭遇》を少なくとも三度経験する。「負の数」、「平方根」、そして「虚数」。子どもの心が数学から離れる分岐点であり、教師の腕が試される単元。指導者も学びをやめてはいけない。2023/04/25
チャーリブ
53
柞刈湯葉さんの短編に「数を食べる」という「数」を取り出して食べる話がありますが、2や3など私たちが慣れ親しんでいる数字も実は抽象的な観念だということを教えてくれます。では「虚数」はどうなんでしょうか。これこそ実体のない観念のように思っていたのですが、案外そうではないことが本書を読んで分かりました。国によっては、虚数はガウス平面(複素平面)上で90度左へ回転させる数だと教えるところもあるとのこと。こちらの方が具体性が感じられて身につきそうですね。虚数とオイラーの等式との関係も興味深いです。○2023/01/02
trazom
48
魅惑的なタイトルに惑わされて手に取ったが、何とも中途半端…。クォータニオンによる回転、オイラー等式、ホーキングの虚時間、シュレディンガー方程式などの本質的な意味を、どこまで理解できるのだろう。尤も、本書は、虚数だけでなく、ゼロ、マイナスの数、無限の概念、ネイピアの定数など、数論の基本的な話題を提供して、読者の興味を引くことに価値がある。この本で「わかった」と言う人は、本当は何もわかってないのだと思うが、この本で、数学や物理学に興味を持ち、更に深く学びたいと感じる人の出てくることが、著者の狙いなんだろう。2020/06/12
inami
33
◉読書 ★3.5 虚数「i」(imaginary number)は、日常生活にあまり馴染みがないように思われるが、スマホやパソコン、ゲームプログラムといった身近なところで活躍している。本書では、虚数の性質となりたちや数学の歴史、さらには、マイナスとマイナスをかけるとプラスになる意味などについて書かれている。それより何より、『博士の愛した数式:小川洋子』にも登場する、世界一美しいと言われるオイラーの等式「e^iπ + 1 = 0」についても解説している・・なんと優雅で魅力的な式なのだ(勿論理解不能だが 笑)2019/09/04
tom
25
この本を読んで、初めて「虚数」が何ものなのか、その一端、カケラほどを知ることができた。虚数のことをお勉強したのは、高校のころかしら。でも、その具体的イメージはどこにもなかった。この本によって、そうか、虚数は三次元世界の数字。そして、物理の世界は、虚数がなければ成立しないなどなど、いろいろとお勉強させてもらいました。書いていることは、とても簡単で分かりやすい。読み終えて、ちょっと嬉しくなる。オイラーの等式の美しさ、ホーキングの理論も紹介。かなりの良書だと思います。2019/12/30