内容説明
旅人は彷徨(さまよ)い続ける。文明が衰退し、崩れ行く世界を風に吹かれるままに。訪れた六つの町で目にした、人々の不可思議な営みは一体何を意味するのか。終わりない旅路の果てに、彼女が辿り着く、ある「禁忌」とは。数多の断片が鮮やかに収斂し、運命に導かれるようにこの世界の真実と、彼女の驚愕の正体が明らかになる。注目の鬼才による、読者の認知の枠組みをも揺さぶる異形のミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
papako
64
たまたまセールで見かけて、久々の作者の作品。なんか全然違う!と読み始めたら、だんだん思わせぶりな物語に翻弄されて、やっぱり作者のお話だなと思いました。文明の失われた世界なのに、カラッと乾いた世界観。謎があり、わかったようなわからないような会話と結末が続く。そしてだんだん旅人の秘密がわかるようなわからないような。それでも彼女の前向きな想いに引っ張られるラストは爽快でした。こう言うの求めてた訳ではなかったけど、なんかよかったから、いっか。2021/11/29
眠る山猫屋
62
荒廃した世界を流離う〝旅人〟が行く先々の町で出会うミステリー。なぜ彼女は町から町へと旅を続けるのか、文字通り謎が解ける時、物語も氷解していく作りは巧い。それぞれの町に潜む因習じみた謎はSFの要素は濃厚ながら、伝奇っぽさも強く感じる。文庫初収録の『北の町』で主人公が窮地に陥る辺りから物語は動き、無常感と共に未来への光もまた、語られていく。荒廃した(あるいは再生しかけた)世界の描写が美しい。2020/01/22
佐島楓
61
哲学がある書き手が現れたと思った。今後が楽しみだし、他作品の評価も高いようなので読んでみたい。2019/08/02
geshi
40
人名・地名に固有名詞を持たせず終末感漂う失われた世界を文章で確立させていて、つくみず氏の表紙も相まって雰囲気バッチリ。旅人が町の謎に触れるミステリというより形而上的な人への問いかけに見える。『北ノ町』の驚きの展開から『石ノ町』で一応の理屈を読者の頭の中に浮かばせておいて、それをミスリードにして旅人の正体へ繋ぐ構成がうまい。『王ノ町』で何故「町」なのか?と問題提起し、ポストアポカリプスの営みを肯定的に捉え直すと、全体像がまた違ったものに見える。2020/03/19
hanchyan@つまりはそういうことだ
36
SFというよりはロードノベルだろう。いや、SFではあるのだが(どっちだよ)いわゆるセンスオブワンダーによる興趣はそれほど大きくなく、旅人が赴く町で独自の文化習俗を読み解くという結構は、あたかも民俗学のフィールドワークを思わせ、熱のこもらない語り口と相まって、『遠い国から』や、あとはもちろん『稗田』とかの諸星大二郎先生ぽい。ということは当然ながらすごく好みだぞ(笑)。思考実験風味の形而上的な会話が実に良い感じ。読後、各話のタイトルには無い「人ノ町」について思いを馳せ、しばし遠い目になる。とても面白かった。2019/08/15
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