講談社現代新書<br> 愛と欲望の三国志

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講談社現代新書
愛と欲望の三国志

  • 著者名:箱崎みどり【著】
  • 価格 ¥891(本体¥810)
  • 講談社(2019/08発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065171912

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内容説明

「三国志」は『万葉集』『太平記』にも登場する。江戸時代には、張飛と関羽が女性になる物語や、劉備と孔明が交わる春画もつくられた。日中戦争期には「三国志」ブームが訪れた……etc日本の歴史は「三国志」とともに歩んできた!「三国志」を愛してやまない東大卒女子アナが、その真髄を全く新しい角度から探究する。・・・・・・『三国志演義』は、中国四千年の歴史の中で、一瞬とも言える百年ほどの時代を描いた小説なのに、なぜか日本人は「三国志」が大好き。どうして、「三国志」は日本で人気があるのでしょうか。「日本でずっと読まれてきたから」――そうなのです、日本の歴史は、ずっと「三国志」とともに歩んできたのです。 第一章では、『三国志演義』のあらましと、私がどんな「三国志」に触れてきたのか、という「三国志の個人史」、第二章では、現代作家による『三国志演義』の多彩な世界をご紹介します。第一章、第二章は、今、どんな日本語の「三国志」があるのかというブックガイドとしてもお使いいただけます。今だけではなく日本で長きにわたって「三国志」が読まれてきたということを、卑弥呼から江戸時代までを第三章・第四章で、明治時代以降を第五章でご紹介します。そして、第六章では、現代に繋がる日中戦争期の「三国志」ブームに迫ってみましょう。日中戦争下に花開いた日本語の「三国志」が、ほぼそのままの姿で、戦後の「三国志」ブームを作っていくのです。――「はじめに」より

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

52
三国志の日本での受容を考察した一冊、ちょっとエッセイ風味。冒頭の個人史は兎も角、室町以前や三国志が本格的に民間に行き渡った江戸時代、それが転換した明治そして日中戦争期とそれぞれの時代の三国志をコンパクトに切り取った考察は極めて興味深い。古くは日本書紀に言及されていたり、遊び道具だった江戸に比べて、明治以降は忠の塊としての孔明像に収斂されていく部分等教えられる事多し。個人的には劉備三兄弟の女体化とか、遊び心満載の江戸時代に惹かれるけど。ちなみに自分が三国志に入ったのはコーエーのゲームが切っ掛けでした。2019/10/01

terve

27
まずは謝罪から。アナウンサーということで、「どうせ営業とキャラ付けで書いた浅い本だろ」という穿った見方で入りました。中身は全く違い、日本における三国志受容史ともいうべき本、しかも、豊富な資料に裏打ちされた学問性の高い本でした。出身大学名を見てさらに納得。改めてごめんなさい。何より、筆者の三国志への愛情を見ていると、初めて三国志のゲームをした記憶が蘇ります。筆者の小さいときは、まさしく自分そのものでした。日中戦争期にも三国志ブームがあったことに素直に驚きでした。面白い本です。あ、私は徐晃が一番好きです。2019/09/14

ようはん

20
古代から現代に至るまでの日本における三国志の受容と文化を詳しく紹介、著者の子供時代からの三国志愛は相当な物で結構重厚な内容。演義と吉川三国志や他の三国志小説の比較や近代日本における孔明の地位向上、江戸時代の通俗三国志から吉川三国志等の小説に変容する過程等が特に良かった。2021/02/08

パトラッシュ

20
1800年前に大陸の覇権を賭けて戦った男たちの興亡のドラマは有名だが、その戦記小説である「三国志」が日本の歴史や文化にどんな影響を与えてきたか、誰も気にかけなかった事情を三度の飯より三国志好きが詳細に調べ上げた面白さに胸が躍った。「日本書紀」に始まって日本の史書や文学の規範となり、大衆文化にまで浸透して日本人の心理形成の一翼を担ってきたとは知らなかった。日本史を考える上で不可欠のトリビアだろう。不満なのは多くの現代人が初めて三国志を知る漫画やゲームについて言及がほぼゼロの点だが、著者の興味の範囲外なのか。2019/09/23

兵士O

17
子供の頃は孔明に憧れていました。義を背負う孤独な姿、公明正大に物事を処する姿勢、何よりも非凡な才能……そこまで感じていなくても、子供向けに書かれていた三国志のダイジェストでは孔明はかっこよく書かれていました。この本の中で日中戦争中に、孔明が中国人であっても忠臣として崇拝されていたと聞いて、今の中年になった僕は違和感を感じました。特に孔明が漢の再興の為に行っていた魏への北伐、それは現代での「平和」という感覚とは相反するのではないか? この本は三国志の明るい一面だけではなく、そういった問題提起もする本でした。2020/11/13

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