反「暴君」の思想史

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反「暴君」の思想史

  • ISBN:9784582851328

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内容説明

わたしたちはいま、「暴政」のなかにいる。

「暴君」なんて昔の存在、「暴政」なんてよその国のこと……本当にそう言いきれるだろうか? 真の暴君は暴君であることを隠す。それを見破る目をもたなければ、あなたは知らないうちに暴政のなかにいる。アリストテレス、オッカム、『葉隠』、吉田松陰など、古今東西の政治思想家の闘いの軌跡をたどり、反「暴君」の論理=「共通善」の思想をさぐる!

【著者】
将基面貴巳
1967年神奈川県横浜市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。シェフィールド大学大学院歴史学博士課程修了(Ph.D.) 。研究領域は政治思想史。現在はオタゴ大学人文学部歴史学教授。英国王立歴史学会フェロー。『ヨーロッパ政治思想の誕生』(名古屋大学出版会2013年)で第35回サントリー学芸賞受賞。著作に『言論抑圧 矢内原事件の構図』(中公新書2014年)、『政治診断学への招待』(講談社選書メチエ2006年)。最新刊は『日本国民のための愛国の教科書』(百万年書房)、『愛国の構造』(岩波書店)。

目次

第1章 「暴君」は今もいる
1 現代日本「危機論」「再生論」の陥穽
2 「理想」と「現実」の倒錯
3 「共通善」に対する倫理的義務
第2章 暴政とは何か
1 古代中国における「暴政」論
2 アリストテレスの「暴政」論
3 中世ヨーロッパにおける「暴政」論
4 福沢諭吉による「暴政」批判
第3章 暴君放伐論
1 西洋の古典的暴君放伐論――キケロ
2 中世ヨーロッパの暴君放伐論――ソールズベリーとアクィナス
3 古代中国の湯武放伐論――孟子
4 江戸時代の湯武放伐論――山鹿素行・荻生徂徠・吉田松陰
第4章 不正権力の矯正
1 中世ヨーロッパの「兄弟愛的矯正」の理念――オッカム
2 古代中国における「諫言」
3 『葉隠』にみる「諫言」
4 吉田松陰と「諫言」
第5章 共通善思想と日本
1 「共通善」を個人がどう認知するか
2 「良心」のもつ権威
3 「良心」と「心情」
4 「心情主義と」「心情倫理」
5 暴君放伐とテロを分かつもの
6 「心情主義」を超えて
終章 比較政治思想史という視座
あとがき
復刊にあたってのあとがき
読書案内――参考文献に代えて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

香菜子(かなこ・Kanako)

29
反「暴君」の思想史。将基面貴巳先生の著書。暴君による暴政に対して原理原則を持って立ち向かう社会であることが必要。言うは易く行うは難しだけれど。暴君のような政治家が増えている現代だからこそ反「暴君」の重要性が高まっているはず。2018/08/16

depo

2
積読本。もっとヨーロッパにおける「暴君放伐」の思想・歴史が語られるかと思って購入したのだが。2021/02/15

左手爆弾

1
後半の方はやや面倒だが、全体的にはいい本だと思う。基本的には日本の政治思想や倫理思想と西洋の古代から中世の政治思想と対比させながら進んでいく。中世の政治思想について気軽に手に取れる本は少ないので、貴重。日本には西洋政治思想の伝統では必須である「共通善」の思想がない。元になった中国思想にもあった「革命」の思想が、吉田松陰ら明治維新の志士となると、「天皇が愚かな幕府を裁く」という上から下への改革に変質してしまう。暴政を単なる悪政ととらえず、「共通善」の思想で考えたことが、本書の優れた点であろう。2014/11/13

かわのふゆき

0
前書きは落ち着いたトーンだったのが、本文はまさに「暴君」のノリ。現代に引き付けすぎなのかも。作者はヒントや考え方を提示するだけでよくて、あとは読み手が自分で考えればいいことなんじゃないかと。「しょうぎめん」さんという苗字は初めて見ました。2010/03/03

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