内容説明
許し、許されることの意味を教えてくれる。
名作『氷点』の、朝日新聞一千万円懸賞小説入選から五十年を記念して編まれたエッセイ集の文庫化。第一章には、応募にいたる経緯や、新聞連載中の読者からの反響、自身が行った講演の模様など、『氷点』にまつわる文章を収録。新聞連載中に発表されたものもあり、当時の作者の息遣いが伝わってくるようである。また、二人三脚で作品を作りだしてきた夫・光世氏の当時の日記を公開。さらにその日記について行われた特別インタビューを通して、執筆時の二人の生活ぶり、入選までの様子など、名作誕生のエピソードを伝える。
第二章には、『積木の箱』『泥流地帯』など他の作品への思い、療養中に出会った短歌との関わり、支えてくれた忘れ得ぬ人たちのことを綴ったものを収めている。キリスト者であり、作家である三浦綾子を形作ってきた多くの物事が、愛すべきものとして浮かび上がる。
「私はね、人間って『ごめんなさい』と神様にも人にもいえる。自分が許してもらわなければならない存在だと知ることが大切だと思うの」
人間誰しもが持つ弱さ、知らず知らずのうちに犯してしまっている罪。許し、許されることの意味をそっと教えてくれる、優しさに満ちた一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
70
『氷点』の著者、三浦綾子のエッセイを中心とした作品集。中学生の頃、ある先生に『氷点』を薦められたことを思い出した。著者がキリスト者という知識は持っていたため、学校(ミッション系であった)と社会全般に反発を感じていた幼い私には読めないままだった。今の私なら、もう少し素直な気持ちで読めそうな気がする。題名に惹かれた、というのも手に取る大きなきっかけだった。2019/08/19
金吾
28
信じきれるものがある、死を直視していた時期があるという特性を備えた三浦さんの人柄が伝わるようなエッセイです。今日が命日になるという思いが毎朝胸によぎるという言葉はなかなかいえないと思いました。『氷点』が読みたくなります。2023/04/17
チサエ
11
氷点誕生までのあれこれ。光世さんの日記と、綾子さんへの愛情。いろんな作品たちのこと。そんな色々が詰まった本。常に深い信仰があったことも伺える。おいしくて贅沢なものを食べたような読後感。2019/09/27
Emma
3
講演内容やインタビュー、光世さんの日記などが載っていて良かった!光世さんの日記には、妻である三浦綾子のことばかり書いてある。綾子と何をした、綾子がアレをした、など。小説の執筆を応援する一言も多く、微笑ましいな。2019/11/25
ようこ
1
2冊前に読んだ本に三浦綾子の名前が出てきたので気になって。『氷点』が処女作と初めて知った。キリスト教の信仰については共感しにくいところもあるけど、ご夫婦揃って敬虔な姿勢を貫き通した人生はすごいと思う。2020/12/06
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