内容説明
徳川三百年の恩顧に報いて藩主の座を捨て幕末に忠義を尽くした「最後の大名」林忠崇の生涯。
NHK「歴史秘話ヒストリア」に著者が出演!
林忠崇はわずか一万石の大名とはいえ、れっきとした譜代藩の当主であった。その脱藩は、単身いずこともなく姿を消す、といった忍びやかなものではまったくなかった。家老以下おもだった家来たちと連れ立ち、領民たちに見送られて陣屋を立ち去る、という威風堂々たるものであった。
一体なぜ林忠崇は、藩主みずから脱藩するという破天荒な行動に出たのか。忠崇はその後なにをし、どのような人生を歩んだのか。その藩は、藩主がいなくなってしまったあとどうなったのか。(「はじめに」より)
本書は、二〇〇〇年に中央公論新社から刊行された『脱藩大名の戊辰戦争』を改題したものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
スプリント
8
徳川家に忠義を尽くし藩ごと脱藩した林忠崇の波乱の生涯について書かれています。日本各地を転戦し流浪する遊撃隊のパートと明治維新後に名誉を回復するまでのパートに分かれています。2019/11/03
ゆうきなかもと
2
地元木更津の先人、脱藩大名、林忠崇の脱藩とその後が分かる一冊。直情的な性格なのだと途中まで思っていたが、むしろ純情なのかも知れない。後半の名誉回復運動ではほとんど本人の動きがないのだけど、かつての家臣の家柄の人がいろいろと骨を折る。まさに忠義とはこのようなことをいうのだと感じた。2025/12/14
Masaki Maruyama
1
今年4月、千葉県木更津市で「真武根陣屋遺址」の顕彰碑が再建披露された。取材に行くと、作家の中村彰彦さんがいてびっくり! そうと知っていれば著作の1冊も持ってきてサインしてもらえたのに…。事情はあるにせよ、木更津市の広報下手が丸出しな出来事だった。「真武根陣屋」最後の主だった請西藩主林忠崇は戊辰戦争の際、領民や慶喜公に迷惑をかけぬよう脱藩して旧幕府側で戦った唯一の大名。「一文字大名」としての誇りで徳川家への忠義を貫き、貫いたが故の後の苦難や、忠崇の名誉回復に奔走した旧臣の奮闘ぶりは胸が詰まる思いがする。2023/07/09




