講談社文芸文庫<br> 眼の皮膚・遊園地にて

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講談社文芸文庫
眼の皮膚・遊園地にて

  • 著者名:井上光晴【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 講談社(2019/08発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061976535

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内容説明

なにげない夫婦と子どもの、幸せな光景の背後に忍び寄る、得体の知れぬ不安と戦きを衝いた、短篇小説「眼の皮膚」。ふと外へ歩き出した団地住まいの妻が、サーカスを見ての帰り、若者に誘われた、白昼夢的な現実「象のいないサーカス」。日常誰もが心の裡に抱え込んでしまった、平凡な現代人を理由もなく突発的に襲う、空虚感や精神の崩れを描いて、先駆的都市小説となった、著書の60年代の代表作6篇。

目次

不安

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

YO)))

17
『先駆的都市小説となった筆者の六十年代の代表作六篇』,しかし余りにもディストピア的な….「妊婦達の明日」は異臭漂う怪作.顕現した終末たる廃坑の島.男達,妊婦達,白塗りの淫売達,との徹底的なディスコミュニケーション.それに比べると「眼の皮膚」「遊園地にて」は随分と現実の地平に寄せられてはいるが,自己の根本を浸食し腐り揺るがせるような地の毒(とりもなおさず人の毒,の集積,でもあろう)の回り具合は,寧ろ際立っているかもしれない.2014/06/08

AR読書記録

4
うわぁん、気持ち悪いよぅ怖いよぅ... きほん、世の中見えてる次元はひとつでも、なかは何層もあって(いやな言い方だけど美しく整った世界から混沌の世界まで)、それが混淆して顕れているもの(見ているもの)だと思うけど(うーん、うまくいえないな)、見事に不安を煽る層ばかりを拾いとって描いているというか。全体として世界はこんなんちゃうでと思うけど、一場面一場面を切り抜けば確かにそうだとしかいえない気がする。うーむ、見事に気持ちをかき乱された。2016/03/02

急性人間病

2
「遊園地にて」の自らの憐憫の提示に固執する“彼”の加害性や、個体として苛まれ群体として苛む動物の描写に、初期大江からの影響を看做すのがどれだけ妥当なのかはわからない。ただ、人間の内臓をある種仮託した大江の動物と違って、井上の動物は内臓感覚を害する外側からの侵入者のように思われる(冒頭2篇における廃炭鉱のガス臭とかにもこれが通底している気が)。「眼の皮膚」の例外的な一人称小説においても、外側のスケッチの趣は強い。そのスケッチをふと切り上げる、切断する作者の技術は人為的だが、しかし何だかんだ言ってキレている。2024/06/29

いのふみ

2
自身の経験をもとに「青春の讃歌」を描く初期の私小説的な手法から、フォークナーに影響されて変化してきたことがわかった。炭鉱というヨクナパトーファ、少し箍の外れた人物、不安定な現実感、徒労感などにその影響がみえる。2020/09/24

kayoshi

0
★★★★・ 2003/08/19

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