内容説明
『サスツルギの亡霊』が2019年「本屋大賞 発掘部門『超発掘本!』」に選出された、著者の「もうひとつの超発掘本!」が文庫化。14世紀初頭、端麗王フィリップ四世が統治するフランス。パリに暮らす鍛冶屋ジェラールは、ある日突然、妻と共に投獄される。無実の罪を訴える彼に王の腹心が出した解放の条件は、神殿騎士団逮捕直前に失踪した、一人の神殿騎士を探し出して捕らえるというものだった。妻を囚われたジェラールに選択肢は無く、わずかな手がかりを頼りに、謎の騎士を追う旅に出る――。 2019年の「本屋大賞」発表会で「知らなかったけど、読んでみたいと思った」と会場にいたすべての人に強い印象を残し、話題をさらった『サスツルギの亡霊』推薦者の書店員・蔦屋書店諏訪中州店の立木恵里奈さんの名スピーチ。その中で選出作である『サスツルギの亡霊』を差し置いて「文庫化してほしい!」と熱く語られたた本作が、このタイミングでついに文庫化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
27
結末はあまりしっくりとしないですが、最後まで一気に読めたので、面白かったのかなと思います。悪に鉄槌をくわえてほしかったです。2022/12/31
yamakujira
3
王府に妻を人質に取られ、逃亡した騎士の捕縛を命じられたジェラールは、監視役のピエールを連れて探索に旅立つが、何者かに襲撃され、逃亡者が抱える秘密が徐々に明らかになる。フィリップ4世治世化の中世フランスが舞台だから、なじみ薄い時代背景の咀嚼に手こずるものの、それぞれの信念が招く非情な運命にひきこまれていく。アンドレもルイーズもピエールも、そしてマルグリットも悲しい。信仰は思考停止を招き排他的な攻撃性を生むから、宗教って害悪だとつくづく思ってしまう。ジェラールには王に復讐してほしかったな。 (★★★☆☆)2020/08/03
Sept
1
前2作の「カタコンベ」「サスツルギの亡霊 」よりも、よかった。この題材では仕方がないと思うが、読後の苛立ちがとても大きい。2021/08/26
たま
0
追う側だと思っていたら追われる側で。信心とは信念であり、救いであり、迷いであり、苦しみであり、口実であり…。人は疑うものだけれど、どうするかを決めるのは常に自分で、神はそれを見ているだけ。それが運命か。 迫害される人の姿は、迫害する側の、そして人間の持つ傲慢さや愚かさを浮き彫りにする。なぜ人は争いから逃れられないのか。2021/08/14
凌
0
サスツルギの亡霊から大分空いてかなり久し振りの神山さん。2020/03/12