手話の歴史 下 - ろう者が手話を生み、奪われ、取り戻すまで

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手話の歴史 下 - ろう者が手話を生み、奪われ、取り戻すまで

  • ISBN:9784806715610

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内容説明

17世紀革命前夜のパリから出発し、手話を育みながら公的なろう教育の礎を作り、国を超え、
ヨーロッパ・アメリカの2大陸をまたいで、手話コミュニティのネットワークを築いたろう者たち。
19世紀後半から、電話の発明者ベルを筆頭に「善意」の聴者たちが、
ろう者の手話とその歴史を否定していく。
逆境の中で、自らの人間的尊厳をかけて、
手話言語とろう者社会を守ってきたろう者たちの闘い。
これまで知られていなかった手話言語とろう教育の真の歴史を生き生きと描きだしながら、
言語・文化の意味を問いかける名著。

「ろう者は聴者の社会に合わせて生きるべきであり、その妨げとなる手話は認めてはならない」
手話の否定をはじめ、ろう者へのさまざまな抑圧がグラハム・ベルらによって強められていく。
ろう者が、自らの言語である手話を取り戻すための、長く熾烈な闘いの歴史。

目次

第8章 アメリカで広がる、ろう教育
アメリカ行きの船中で
トーマス、口話主義者とやりあう
手話への偏見
クレール、アメリカの地を踏む
信仰復興主義者、ティモシー・ドワイトを訪ねる
コグズウェル家を訪ねて、ハートフォードへ
資金集めの旅の始まり――ボストンからニューヨークへ
旅の終わり――17都市を回って
ハートフォード校、開校の日
モンロー大統領の来校
開校当初の生徒たち
フランス手話からアメリカ手話へ
ろうあ学院の授業
ミッチルのニューヨーク校設立
ろう教育の担い手たち
新校舎の建設と新学院名、ハートフォード・アメリカ学院の決定
新校舎の完成
遊説に出るトーマス
競合校、ニューヨーク校の危機
変わるニューヨーク校
ペンシルベニア校設立の立役者
ペンシルベニア校の素晴らしい生徒たち
ケンタッキー校、オハイオ校、バージニア校
寄宿制ろう学校の広がり

第9章 ろうの女性たちと、国立ろうあ大学設立まで
メイソン逝く
アリスの死
学院初の盲ろうの女子学生、ジュリア・ブレイス
ジュリアの学院生活
恋するろう者
ろう者同士の結婚
ろうの子どもを持つ健聴の親たちへ
ろう女性の現状――アメリカとフランス
トーマス・ギャローデットの妻ソフィア
ギャローデット、一線から退く
ニューイングランド・ギャローデット協会の設立
ろう者の共同体「ろう者の国」
大学の前身、コロンビアろうあ盲学院設立
国立ろうあ大学の認可が下りる
ローラン・クレールの退職

第10章 口話主義者との闘い、再び
アフリカ人と異教徒と手話
スペインの同化政策
宿敵、サミュエル・グリドリー・ハウ
ローラ・ブリッジマンでの成功
独りよがりの教育法
ハウの盟友、ホレース・マン
パーキンス校の台頭を画策するハウ
ドイツに理想を見たマン
ナポレオンとドイツ口話主義
マンが学校見学で見たもの
トーマス・ギャローデットらによる反論
アメリカ学院によるヨーロッパ視察
イギリス、フランスに劣るドイツのろう教育
ろう者の自立を阻むドイツ式教育
アメリカ学院での発話の取り組み
ハウの新たな協力者ハバート
ハウを後押しするメイベル、ファニー、ジェニー
迷走を始めるハウ
マサチューセッツ州知事の介入
公聴会始まる
ハバードたちの攻勢
届かない、ろう者の望み
マサチューセッツ州、クラークろうあ学院開校
「併用法」を提唱するエドワード・ギャローデット
校長協議会の決議
ろう者の希望が叶う日は来るか

第2部 手話を取りもどす

第11章 手話コミュニティの最大の敵、グラハム・ベル
クレール没後のアメリカろう教育
手話の追放者、グラハム・ベル
両者の違い――クレールとベル
ベルが発話に興味を持つ理由
視話法の発見
ベル、ろう者を教える
メイベルとの出会い
視話法の衰退
電話の発明
ベルと優生学
優生学とろう者と「覚書」
すべてのろう者は私の母のように妻のように、孤独であるべき
通学制学校設立の大きなうねり
通学制学校で孤立する子どもたち
イギリス王立委員会でのギャローデットとベルの闘い
ろう教育界を二分する主張
教員養成を巡る衝突
マイノリティへの抑圧と同化の強制
ろうの教師の存在意義

第12章 ろう者の闘いは終わらない
ペレイラの台頭、再び
第1回 ろうあ者福祉向上のための世界会議の開催
会議は続く
イタリアろう教育の口話主義への転向
1880年、口話主義を支持するだけのミラノ世界会議始まる
入念に下準備された生徒たちの実技発表
口話主義に偏った会議参加者
ミラノ決議の採択
口話主義に抗う、全米ろうあ者大会
ミラノ会議以降のろう教育
低下する生徒の学力
ろう者の社会的地位の低下
手話の排除が進む
立ち上がるろう者たち――第1回 ろう者世界大会
最後の闘いに挑むギャローデット
相容れない聴者とろう者
変わらぬミラノ決議への支持
届かない、ろう者たちの叫び

解説
人物一覧
訳者あとがき
索引は上・下巻通したものを、上巻巻末に収載した

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

内島菫

18
クレールがギャローデットの求めに応じ二人でアメリカに播きはじめた手話の種は、アメリカのろう女性の社会参加やリンカーン大統領が認可した国立ろうあ大学が実現するまでに花開いたものの、同様に口話主義もアメリカで大輪の花(=アレクサンダー・グラハム・ベル)を咲かせる。本書を読むと電話の発明は、ベル家が代々こだわってきた雄弁術やベル自身の持つろうの母や妻への屈折した思いやり、そして誰の心にも忍び込みうる優生思想の副産物に過ぎないように思えてくる。2021/01/28

CCC

17
途中まで歴史小説のように感じていた。知らない世界だった。グラハム・ベルは知っていても、手話弾圧者としての顔までは知らなかった。でも他の世界と大きく違うわけでもないのかもしれない。当事者の必要よりも普通の人に合わせることが優先された結果、聾者の別解が奪われる。同調圧力の形の一つに思えた。聾者が手話を生み、奪われる物語。なお本編には取り戻すところまでは書かれていない。解説で2010年に方針転換があったことが語られるのみである。2018/07/18

ドシル

16
上下巻買って何ヶ月たったことか。ようやく上下読破。 下巻も前半はクレールの目線で、トーマス・ギャローデットと一緒に米国へ行きろう学校設立、手話から口話へのうねり、そしてギャローデット大学へという歴史が描かれている。 後半は筆者がろう教育について記している。いかに今までの自分の知識が上っ面だったかわかる。 日本のろう教育と手話の歴史もしっかり残して欲しいと思った。最後に訳者と監修のコメントがあるがろう教育に関わった教員の目線もある良い内容だった。そこだけでも読む価値があると思う。2018/09/19

ふん

4
この本を読んでいた日、手話を英語に翻訳する手袋を開発しているアメリカの学生の記事をたまたま見た。すごいけど、なぜ器具を装着しないといけないのは手話話者なんだろうと思った。手話が欠けているのは健聴者のほうなのに。でもそんなことこの本を読まなければぜったい思わなかった。驚いた。読み終わって、なぜ20世紀のことがほとんど書かれてないんだろうと思った。でもツイッターで「手話 口話」と検索すると120年前とまったく同じ論争がつづいていた。訳がわかりにくいところもあるけど、もっと知られるべき歴史ではないでしょうか。2019/03/31

takao

1
ふむ2025/04/25

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