内容説明
この恋は、あまりにも痛くて危険で耽美――
美しい離島でひとり暮らす青年・水無月陸。ある夏、陸が思い焦がれ、再会を切望していたかつての幼なじみ・黒坂聖が、女性の姿になって突然島に帰ってきた。陸は、胸に渦巻く凶悪な感情を抑えきれず、聖を監禁するが、本性を現した聖の前になすすべなく屈服し、欲望のままに交わる。小学生のときに死んだもうひとりの幼なじみ・遠野宮への回想と思慕をまじえ、美しい島でくりひろげられる少年たちのグロテスクでありながら透明なひと夏の恋。――表題作「夏の方舟」より「水の影踏み」
ほか、夜な夜な妖しいバーでおこなわれる、欲望をむき出しにしたヴァイオレンスなショー。その魅力に憑りつかれたサラリーマンの巻村と小田桐はバーに入り浸るように。そこでは、あまりにも刹那的な「生」と「死」の交錯がくりひろげられていた――「サロメのいない金曜日」
生々しくもピュアな、男たちの嫉妬と葛藤、欲望を痛々しくも透明に描き出した恋愛小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
黎明卿(禍腐渦狂紳士タッキー)
110
【運命が変えられるかどうかわからない。だけど俺はーーーおまえのそばにいたい(陸)】聖と陸をメインにしたお話と、間接的に聖が関わるお話を収録。あらすじにある通り、男たちの嫉妬や葛藤、欲望が生々しくも透明に描かれており、SMな部分や流血があったり、呪いのように狂おしい程に好きな人を想う気持ちが痛いくらい散りばめられていました。聖と陸が今後どんな付き合いを続けていくのかが気になるところで、この運命は本当に変えられるのか?気にはなるけど、聖と陸は哀しい程に幸せで綺麗なままここで終えた方がいいのかもしれませんね。2019/08/11
那由多
17
想定以上にガチ目のBLで、おまけにハードSMが合わなかった。ボディサスペンションとかホント無理。表紙のイメージとまるで違う。でも『こどもたちの素数』は良かった。それまでの3話は、ここに至るための助走だったのかもしれない。2023/08/29
ヨー
11
最初のやつのパンチ力容赦ない2020/09/06
まゆこ
6
★★★☆☆2020/06/20
yamakujira
3
島で暮らす青年、水無月は幼馴染の黒坂と10年ぶりに再会した。女装した黒坂に犯された水無月は、つれない黒坂を追って上京する。男ふたりのこじれた恋情を2話構成でえがいた「夏の方舟」に、黒坂のストーカーを主人公にした「サロメのいない金曜日」、小学生男子が女装する同級生に恋する「こどもたちの素数」、同性愛に苦悩するように見えて、黒坂は美女に変身する容姿だし、うに子も可愛いみたいだし、ゲイと言うより異性愛の代償にすぎないよねぇ。露悪的で暴力的な描写がアングラな雰囲気を醸すけれど、つまらなかった。 (★★☆☆☆)2021/10/13