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内容説明
孤独を好物にする“つちんこ”と少女の物語。
母の離婚をきっかけに祖母の住む離島に預けられることになる少女。そこは、毎年夏になると家族で出かけた思い出の多い島だ。
複雑な思いをかかえて、島に降り立つと、
「シャッ、シャッ、シャッ、シャッ」
無気味な笑い声を立てて、つちこんこが、現れた。
「もしかしておいらのこと、見えてるのか?」
どこからともなくやってくる“つちんこ”。
「あなた、ナニモノなの?」
「うーーん、おいら、ナニモノなのか……」
孤独につぶれそうになっている子どもの前にだけ現れるのが、座敷童ならぬ“つちんこ”だ。
家族のことで不安な気持ちをかかえる少女と、うさんくさいつちんことの、不思議な物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
66
爽やかな表紙に魅せられて新刊棚から手に。家族の問題で母の実家の島にやって来たお京。そこで出会った不思議な「つちんこ」。内容はかなり重たくて家族のことで悩む中学生たちの姿に胸が痛みました。ラストに希望が見えて良かったけれど、これを現役の中学生たちはどう感じるのでしょうか?2019/08/28
モモ
60
大人の事情に振り回される子どもたち。自分の生活が一変するのに、意見は流され我慢を強いられる。大人を信用できない「つちんこ」が孤独な子どもの前にだけ現れ、辛い現実を見つめさせ、時に励ます。自分の気持ちを伝えることで、人生の主導権を自分自身が持つことの大切さを教えてくれる。自分の子を否定してばかりいてはダメだと改めて感じた。子どもを決定的に泣かすのは大人で、また救うのも大人なのかもと、この本を読んで思った。最近の村上さんらしい容赦ない描写に子どもたちへの祈りにも似た思いが伝わる一冊。2020/08/01
千穂
36
爽やかなタイトル、YA青春ものかと手にした一冊だったが、かなり厳しい内容だった。さすが村上しいこさん、難しい世代の若者の心の機微を描かせると最高やね〜辛い境遇にも関わらず前を向いて歩き出した子どもたちに乾杯!2020/02/05
信兵衛
26
少年少女のひと夏の物語ですが、それにしてはかなりシリアスな内容。2019/09/08
白雪ちょこ
23
タイトルや語彙力のセンスが良い。 夏にぴったりな一冊となっていた。 両親の不仲から、祖母の住んでいる島へとやってきた、主人公のお京。 そして、たった1年で変わってしまった友人のカイの家族関係や、辛い現実。 他の小説にはない、あまりにも救われなさすぎる彼女達の人生。 しかし、そこで決意しなければならない覚悟と諦め。 それが、作者の文章とともに強く描かれていた。 もしかしたら、私たち読者も、つちんこの目によって、この厳しい現実の物語を見させられていたのかもしれない。2022/05/19