内容説明
二千数百年の歴史をもつ中国文学。日本人にとっては、文学のみならず教養の主軸を為してきたといえるが、その中国文学の中でも、とりわけ詩歌の占める地位は高い。孔子が活躍していた春秋時代に最古の詩集『詩経』は成立したが、それ以前から中国に詩歌の歴史があったことは間違いない。その文明と共に長い歳月、詩歌は人々に愛され、その努力と工夫を蓄積しつつ歩んできたのだ。本書は、一般に「漢詩」と呼ばれる中国古典詩の、概念・テーマ・韻律上の規則・その他技巧等々について、初歩から易しく体系的に学べるものである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホシ
19
私の悪い癖。すぐに「かぶれる」こと。漱石を読んでいたら漢詩を知りたいという欲が湧いてきて、手に取った次第です。「あわよくば《世を厭うて酒を呷り 醒めて後は己を呪う》ぐらいの詩を作れたらなぁ」と目論んでいたのですが愚昧もいい所でした…。実に奥深い世界で、私に漢詩は作れそうにありません^^;しかし、入門書とはいえ、胸に迫る漢詩が多く紹介されていて、思いの外、付箋をたくさん貼りました。漢詩の創作は無理ですが、鑑賞はこれから始めたいですね。漢詩の歴史・形式・技巧・題材なと幅広い内容を体系的に知れる良書です。2019/05/12
うぴー
2
押韻や平仄といった漢詩の基本的なルールのみならず、度々詠まれるテーマとして政治や自然が取り上げられる等多面的な説明が記されており、作品の背景となる儒教や道教の思想のほか、頻出する地名に関する補足があるなど、実際に詩集を読むにあたって参考になった。また実例も随所に取り込まれており、説明の理解に資する構成になっていた。2021/12/08