内容説明
装束とは、天皇・公家・武家・高僧などの上流階級が着用した歴史的着衣をいう。歴代の天皇は、皇太子から即位式を経て天皇になり、譲位後は上皇、さらには出家して法皇となる場合もあった。そうした人生の節目ごとに装束は変化したが、個人の意思で選ぶことはなく、奈良・平安時代以来の厳格な規定に従っていた。本書は、主として中世の天皇の生涯を辿りながら、個々の装束を詳細に解説し、それらが持つ意味を明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
びっぐすとん
10
図書館本。新聞書評見て。平成の即位の礼の際に思ったのは天皇ですら宝飾の類いは身につけずシンプルだなということ。勿論最高級の絹の精緻な織物ではあるけれど。装束の基礎知識、用語を知らないから難しかった。専門用語の説明は少ないし、せめてもう少し図を載せて欲しい。ガッーと攻め立てまくるような説明に理解する気も失せてしまった。何度も出てくる冕服は結局どんな服なのか?宮中は公の場、だから一日中そこにいる天皇に私服(直衣とか)はあり得ないって、何だかお気の毒。確かに今でもスウェット姿の皇族って想像出来ないけど。2019/06/19
nagoyan
9
優。というか、難しい。延々と天皇装束を、時に公家装束、法体装束の分類、説明が続く。これは、もともと、何かの知識がないと読みづらい本なのかと、途中で思い始めた。図も多くはあったが、むしろ、図版に解説があるムック的なものの方が、ド素人の自分にはよかったか。ないしは、NHK大河の美術・衣装の力を借りてモデルに着せるとか。2019/06/05
若黎
6
前に読んだ『詳解 有職装束の世界』を横に置いて、視覚的に見ないと、分かりづらいところだが。譲位後の装束については知らなかったので、よかったと思う。 このあたりのドラマをみるときに、拝謁する貴族が烏帽子か冠か、束帯か直衣か狩衣か、という違いを見るのも一興かもしれない。2022/07/31
遊未
6
正に時期もの。こういった方面の困難さは図や写真をやたらに使用できないことでしょう。3Dの時代に関わらず、モデルやマネキンも無理かな。想像の限界に挑戦!の世界でした。つまり、どうしても良くわからない。装束の複雑さの割りに御即位実際のお召しかえは短時間と感じました。2019/11/10
Teo
4
丁度譲位のタイミングで読んだのは良かったかと思う。今まで天皇・公家の装束は漫然と束帯や狩衣などのイメージだったのが、どんな時に誰がどれを着るかと言うのがきちんと決まってて、そしてその中でも天皇の装束が特別に違うと言うのが分かる。その中身もこれまた漫然と知っていた黄櫨染御袍以外にどれをどんな時に着用するのかも分かった。2019/05/07