中公新書<br> フィリピン―急成長する若き「大国」

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中公新書
フィリピン―急成長する若き「大国」

  • 著者名:井出穣治【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 中央公論新社(2019/07発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121024206

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内容説明

かつて「アジアの病人」と呼ばれたフィリピン。近年、サービス業主導で急成長し、経済規模は10年強で3倍となった。人口は1億人を突破し、国民の平均年齢は25歳。「アジアの希望の星」との声さえ聞かれる。一方、貧富の格差はなお深刻で、インフラも不十分。ドゥテルテ大統領の暴言や強権的手法は世界から危惧されている。経済成長著しい島国の魅力と課題に、IMFでフィリピン担当を務めたエコノミストが迫る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

31
現代フィリピンに関する概説書。著者はIMF~日銀と渡ったエコノミストでありながら、経済だけでなく歴史、政治や外交にも目配せの効いた、バランスのとれた良質な入門書。特にドゥテルテ大統領の評価は、メディアの流す悪評とはひと味違った冷静な分析で、好感が持てる。大統領がミンダナオ出身で、イスラーム勢力との和解が進んだことにについては初めて知った。経済については人口ボーナスに期待しつつ、今後の経済政策や土地改革などの課題も取り上げられる。惜しむらくはルソン以外の島々や農村の生活についての記述が殆どないことか。2017/12/15

かごむし

28
お隣と言えば、中韓が浮かぶが、南に目を転じればすぐそこにフィリピンがある、ということすら、本書を手にするまでは気がつかなかった。現地でエコノミストとして活躍した著者によって、フィリピンの経済、政治、歴史、日本との友好などが書かれている。著者は学者ではないが、卓越した経済理論に裏打ちされた広汎な知識により、フィリピンが直面しているリアル、というものが見事に描きだされている。日米戦に巻き込まれ100万人以上のフィリピン人が犠牲になったが、本書は、両国の発展と平和への願いによって編まれている本だと感じた。2017/11/17

Akihiro Nishio

26
フィリピンへの途上で読破。まとまりの良い本で、フィリピンが他の東南アジア諸国と違ってなぜ成長出来なかったのか、今になって急成長するようななった理由について説得力のある説明が展開される。また、フィリピンの現状の課題、今後の成長のために注目すべきポイントについても納得できた。経済指標からだけでなくフィリピン人のメンタリティについて深い理解が感じられる。海外での就労を助ける海外雇用庁の存在にはびっくりした。政府が積極的に出稼ぎを奨励しているのだな。同様に出稼ぎに依存しているアフリカの国々にもあるのだろうか。2018/08/04

coolflat

20
フィリピンは、欧米の植民地の時期を400年近く経験し、16世紀半ばから19世紀末まではスペイン、19世紀末から20世紀半ばまでは米国の植民地下(正確には、20世紀半ばの数年間は、日本の統治下にあったが)にあった。この時期に成立し、長らく温存された制度(アシエンダ制)は、フィリピンの経済・社会が抱える構造的な問題(少数の富裕層と多数の貧困層にはっきりと分断された社会)を作る方向に作用した。この固定された貧富の差は、現在もなお未解決の問題として、フィリピンの未来に大きくのしかかっている。2017/11/08

HMax

18
スペイン300年、アメリカ40年、日本数年、約400年に及ぶ植民地支配、特にスペイン植民地時代に利益が収奪され、「持つもの」と「持たざるもの」への分断が固定化された。これを覆すのは一朝一夕では不可能。1986年のエドゥサ革命が東アジアの民主化運動の先駆けとなり、台湾、韓国、ミャンマー、中国、タイ、インドネシアの順に民主化が進展(ミャンマー、中国では成功せず。韓国の民主化は、僅か30年前なんですね。)中国の覇権主義に、フィリピンがどういった外交政策をとるか、ドゥテルテ大統領の手腕に期待。2017/06/03

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