講談社文芸文庫<br> 時の潮

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講談社文芸文庫
時の潮

  • 著者名:高井有一【著】
  • 価格 ¥1,463(本体¥1,330)
  • 講談社(2019/07発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061984769

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内容説明

今日、昭和が終った。天皇崩御のニュースをきいて、近くの御用邸に記帳に出かけた。昭和に生まれた私は、私の時代が終わってしまったような気がした。元新聞記者の私は、10歳年下の共同生活者・真子と葉山に暮らし、四季を楽しんでいる。しかし、さまざまに形をかえて潮だまりが出現するように、二人の間にわだかまりがないわけではない。戦時下に生まれ、戦後を生きる男と女を静かに描く、野間文芸賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

eirianda

8
大人だ……。わたしよりもずっと大人の昭和の恋愛小説。これを読んでいると恋愛小説なのに性欲も物欲も情念も消え失せてしまう。この話で老いるということは死と諦観と受容が待ち受けている。美しい老い方。物哀しい美しい話。60を超える頃、こうありたいと思うが、不幸にもわたしの知る限り周りの初老はもっとゲスい。戦争体験がないからか? 死が間近でなかったからか? それともわたしの環境が悪いのか?2015/05/06

アメヲトコ

1
昭和という時代が終わったころの葉山を舞台に、戦中派の主人公と、10歳下の女性との暮らしを描く小説。登場人物はそれぞれに悲しみを抱えながらもそれを露骨に表出することなく、潮が満ち引きするように微妙な綾が綴られていくところに大人の文体を感じます。今年100冊目がこの本で良かった。2016/08/06

amorlibresco

0
高井有一という人の本をはじめて読んだ。じっくりと味わうように読んだ。心にしみわたらせるように読んだ。それにふさわしい文章、厚みのある人物たち、そして実のある物語だった。ここにあるのは、文学そのものを更新するような文学ではない。しかし、制度的な文学の枠組みの中にあって、これほど質の高い「文芸作品」を生み出せる作家もそうはいないだろう。50代と40代の男女の恋愛物語に酔った。古臭さも含めて、戦争を経験した人たちの思いを噛みしめた。2015/11/03

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