内容説明
異常に厳格で、病弱で、夫婦仲の悪い両親を持つ、大屋敷理加子は、礼儀正しく真面目に過し、２９歳になった。他人との距離のとり方に、何かしらぎこちなさを感じる理加子は、ふつうの恋、あたりまえの生活を夢見るようになっていた。そんなある日、彼女の前に江木という男が現われて……。切なく心に迫る長篇小説。ふつうの恋と生活、それが２９歳、理加子の夢！
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猪狩 紀恵
6
幸せになるということに、代償なんていらない、自分だけ幸せになってはいけない、何かと引き換えにしか生きていけないわけはない。 たまごの殻を割ったように新しい自分に生まれ変われてリカコはきっと歩き出すんだろうな。良かった良かった。2024/07/10
YUTAKA
3
就寝前にちょっと読むつもりが、一気に最後まで読んでしまったww ディープな内容なのに軽快に読めてしまう不思議な魅力。 好きな作家です。 久しぶりにHolidaysを聴いてみた。歌詞を噛みしめながら。 名曲だな。 様々なスタイルを生み出したポルナレフの才能にあらためて感動。 2013/06/26
シュウ
2
異常なほど厳格な両親それぞれの介護をしながら毎日を生きている一人娘の理加子。実親に支配されてきた自分と重ね合わせて読んだ。登場人物の心情が手に取れるほどだった。読んでいる間は随分険しい顔をしていた、とツレに言われた。苦しかった。理加子もそうであろう。あまりに支配されることが日常すぎて「おかしい」と気づく事も自分を築き上げることもできない人がいる。だけど飛び立つ機会があったら飛び立つべきだ。頑張ろう、理加子。★★★★★2014/10/18
miho
2
初期の作品ということで、今まで読んだ作品とは少し趣が異なる。ずっと、うわあ～！！って叫びだしたくなりそうな気持ちで読んだ。現れた王子様はほんとにしょうもない男だったけど、逆にそれがバネになったのかもしれない。最後はすがすがしい気持ちになった。2014/03/22
きよこ
2
窮屈に育った一人の女が，オリから，あるいは籠から抜け出す物語。 耐え難い父親，そして母親。 自分の育った環境も，どちらかといえば，躾の厳しい家だとは思うけど，それでもどんなにか自由で伸びやかな環境で育ったことかと感動するほどに。 いびつで，ゆがんだ環境。 彼女が，ここまで，それでも壊れずに育ったこと自体がすごい。と，思うほどに。 クリスマスイブを過ぎた女が...（P.56）という記述。 そういえば，そんな言い方してた時代もあったなぁ，という感じ。 今は大晦日とも言わないしね。 言ったらセクハラだけど。2007/12/25
