内容説明
三角大福中と呼ばれた、あくなき権力闘争の時代。並みいるライバルを蹴散らし、戦後もっとも若い54歳で総理の座をつかんだのは、田中角栄だった。独特のだみ声。コンピュータ付きブルドーザーと呼ばれた馬力に加え、超人的な記憶力。さらに、政敵にさえ金銭的な援助をする心遣いによって、ついに頂点にのぼり詰めた。金脈批判によって政権を手放し、ロッキード事件で訴追されてもなお、その権力は陰りを見せなかった。1983年に発足した中曽根康弘政権は、「直角内閣」と呼ばれ、田中派は後藤田官房長官はじめ6人もの閣僚を送り込む。角栄は法務大臣ポストに自分の側近を送り込むことにも成功した。しかし、その「権力の絶頂」から、徐々に滅びの予兆が見え始めていた――。日本の政治がもっとも激動した時代、政治家たちの息遣いをリアルに記録した名著を、待望の復刊!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆきまさくん
1
昭和に書かれた本のリバイス版。昭和を代表する政治家である田中角栄元首相を中心に、いわゆる三角大福(鈴)中と言われたリーダー達とそれらを取り巻く面々とのかけひき、政争について描いている。近年は表立った政争というものはほとんどないようだが、昭和はまさに一癖も二癖もある政治家の面々が暗躍し、しのぎを削っていた。田中派内派閥ともいえる創政会の立ち上げなど、安竹宮といわれたニューリーダーの動きまで網羅した、闇将軍と言われた元首相の後半の政治人生を綴っている。2019/08/01
TSUJINO Yusuke
0
☆☆☆☆2022/12/10
funkypunkyempty
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★★★★★ 1985年に発売されたものの復刊本。数年前に再評価ブームが巻き起こった田中角栄最後の1000日を克明に描いた1冊。政治ものが好きな方は是非!一気に読める熱量の高い本。“1”とあるのでシリーズ物なのかな?次が出たら、即書いします♪2021/09/18
Isamash
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1985年刊行本に終章加えて復刊された元三木番読売記者中村慶一郎氏の著作。中曽根総理誕生時から角栄が倒れるまでの政争史を描いている。どこかで見聞きした話が多いが、金丸幹事長の姿が現幹事長の姿と重なり興味深かった。幹事長としての権力維持方法に類似性が有るからか。金権政治家としての田中角栄の姿は本書も含めて多く目にするが、議員立法を数多く行い、日中国交正常化を成し遂げ、官僚を自在に使った政治家田中角栄の歴史的な評価を、誰かきちんと書いて欲しいものだ。政治家はビジョン・能力・実行力が、清貧性より重要と思うので。2021/07/13
史
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いつでも背後から斬りつけられるかも知れない、そんな時代は今後起こりうるのだろうか。2020/06/09