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内容説明
正しい情報が蔑ろにされ感情が優先される社会で、民主主義は危機に瀕している。基盤となる専門知を構築する専門家からの愛ある反撃。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蘭奢待
46
図書館本。想像していた展開はしない。ネット市民の専門家化と専門家の非専門家化が、ジャーナリストの誤り報道、意図した捏造記事や論文により拍車がかかる。それぞれの実例を挙げているが、その実例の説明が冗長に過ぎ、かつ最後まで読み通しても結論らしい結論がない。各事例は興味深くはあるが、so what?。結論だけを求める風潮が悪とも書かれていたが、自分もそれに染まっていること。このようなSNSに意見を書き込むのも総専門家化の一種か。2019/12/25
ケイトKATE
42
最近のワイドショーで、某有名人が専門家の意見を聞こうとせず、自分の持論をまくし立てる光景を見るようになった。いわゆる専門家軽視の風潮は日本だけでなく、アメリカでも深刻な問題となっている。原因はインターネットが発達し簡単に情報を入手することができ、それだけで自分が分かった気になっている。また議論になると、自分の考えを押し通すことが重要となり、相手を言い負かすことだけになっていること。そして、大学で学生に対してサービスばかりが重視されている点である。著者は専門家軽視は民主主義の死を意味すると警告している。2020/10/31
きいち
30
専門家、専門知への排撃。知りたいことだけしか知ろうとしない、一方で誰にも後ろ指さされたくない。だから、専門家の客観的理性は邪魔。いるだけで自分が軽んじられてしまう心地がする。結果、碩学の知見が、誰かの受け売りでしかない素人の意見と同列に扱われてしまう…トランプのアメリカに身を置き、かつ政治に近いところで活動する著者だけに、その危機感はハンパなく大きそうだ。◇で、他人事ではない。著者に処方箋があるわけではないが、それでも彼はコミュニケーションをあきらめてはいない、我々自身もまた、踏みとどまらねばならない。2019/08/31
seki
25
インターネットで誰でも情報が手に入る時代。手に入れた情報を自分に都合よく解釈して、専門家を非難する風潮に筆者は警告を鳴らす。大学教授は学生に迎合し、マスコミは読者に受けない記事を書かない。たしかに科学者が時に間違うことは事実である。かといって、専門家が必要ないとは言えない。事象を深く体系化しているのは専門家である。専門家も大衆もお互いリスペクトしていくことが重要に思う。2020/04/26
おおた
20
専門家の言うことを一般の人が聞かないというのは今に始まった話ではないけど、それを政治家まで聞かなくなると今の日本のように衰退が見えてくる。全て意見を通せというのではなく、専門家の視点を理解できる政治家・一般人が相対的に少なくなってきているのではないか。専門家も失敗もすれば不正もする。ますます揚げ足を取る人が増えて、知識人を批判することで人気を取る政治家たちの餌になっている。本書では大学もダメって言うけど、本質的には教育をしっかりやって、得た知識で報われる社会にならないと問題の解決は難しそう。2020/11/11