ちくま新書<br> キリスト教と日本人 ──宣教史から信仰の本質を問う

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ちくま新書
キリスト教と日本人 ──宣教史から信仰の本質を問う

  • 著者名:石川明人【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2019/07発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480072344

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内容説明

日本人の九九%はキリスト教を信じていない。世界最大の宗教は、なぜ日本では広まらなかったのか。宣教師たちは慈善事業や教育の一方、貿易、軍事にも関与し、仏教弾圧も指導した。禁教期を経て明治時代には日本の近代化にも貢献したが、結局その「信仰」が定着することはなかった。宗教を「信じる」とはどういうことか? そもそも「宗教」とは何か? 宣教師たちの言動や、日本人のキリスト教に対する複雑な眼差しを糸口に、宗教についての固定観念を問い直す。

目次

第一章 キリスト教を知らずに死んだ日本人に「救い」はない?
第二章 戦争協力、人身売買、そしてキリシタン迫害
第三章 禁教高札を撤去した日本
第四章 「本当のキリスト教」は日本に根付かないのか
第五章 「キリスト教」ではなく「キリスト道」?
第六章 疑う者も、救われる

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

74
戦国時代、宣教師と戦国大名が武器の輸入という点において持ちつ持たれつの関係だったという意味のところを読み、なぜ日本人(というか当時の権力者)がキリスト教の布教を受け入れたのかがわかった。私は宗教を持っていないが、ミッションスクールに在籍し、教会の勧誘も受けていた。キリスト教を信仰しなかったのは忙しい中自分の時間を使って毎週末教会に行きたくなかったという点が大きいのだが、そういう最近の日本人の独善的価値観、優先順位の変化も論じて然るべきなのではないだろうか。2019/07/14

1959のコールマン

51
☆4。ううむ。短くまとめると、「結局のところ、キリスト教を含む宗教ってなんなの?」という問いに対する答えにならない答え(ただし否定的な意味ではなく)、というところか。まずは日本における宣教史が書かれているのだが、その内容は、著者がキリスト教徒とは思えないほど公正に(つまり時には辛辣に)書かれている。次に日本におけるキリスト教受容度の低さ、その理由、最後にマザー・テレサを例に出して宗教とは何か、を問いかける。なお、「キリスト教と日本人」のタイトルに惹かれて読むと後半の展開にあれれ?となるので注意。2019/12/17

trazom

37
著者のスタンスは非常にフェア。キリスト教徒にも非キリスト教徒にもオープンだし、カトリック、プロテスタント、正教会のそれぞれに対しても、歴史的な功罪を明確にしている。迫害を受けるだけでなく、武器売買や仏教弾圧などで率先して迫害したのもキリスト教徒だったという視点も忘れない。だからこそ、聖ニコライやド・ロ神父の献身は一筋の光明である。「信じること」で「考えること」を放棄していると信徒を批判した池田晶子さん、「懐疑」こそが「信仰」を創造的にすると指摘したパウル・ティリッヒ。「信仰」を考えるいい本だった。2019/09/25

樋口佳之

32
ティリッヒは、『信仰の本質と変化』という著作のなかで、「真摯なる懐疑は信仰の確証である」と述べている。/「上馬キリスト教会」さんの本と同じ事ですね。/私たちは「戦争」を政治の延長、ないしはその手段として認識する傾向が強いが、それはクラウゼヴィッツ以降の新しい戦争観に過ぎない。戦史家ジョン・キーガンの言うとおり、「戦争」は「政治」よりもはるかに広い領域を含んでいる。「戦争とはつねに文化の発露であり、またしばしば文化形態の決定要因、さらにはある種の社会では文化そのもの」/本題と外れますが印象に残りました。2019/08/31

サアベドラ

22
前半は日本のキリスト教宣教史のまとめ、後半はそれをとっかかりとした日本人向けのキリスト教・宗教論。2019年刊。著者は『キリスト教と戦争』などの著作がある宗教社会学者。現在、日本のキリスト教徒は全体の1%ほどで、安土桃山時代以来たくさんの宣教師がこの国にやってきた結果としては、たしかに控えめな現状と言えるかもしれない(近隣の韓国や中国の状況を見ると特に)。本書を一冊読んだところで日本のキリスト教がこうなった理由を明確に知ることはできないが、理由を自分なりに考えてみるきっかけにはなると思う。2019/08/31

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