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内容説明
夫婦関係は、今や精神的にも経済的にも不安やリスクを増大させるものへと変容してしまっている。にもかかわらず、人はパートナーを求め続ける。夫婦は実際にどう変わっているのか。かつての理想の夫婦像はすでに「幻想」なのか。いや、変わらない部分――夫婦の根源的な何かがあるのではないか。戦後家族モデル崩壊後の混沌状況における夫婦のあり方を、子どもを作るかどうかの選択、子の成長による変化などにも注目し、長期にわたる確かな取材をベースにその実態に迫っていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
香菜子(かなこ・Kanako)
45
夫婦幻想。奥田祥子先生の著書。夫婦関係に限らず友人関係や全ての人間関係は他の誰かから強制されて続けるものではない。自分が快適で心地良いなら関係を続ければ良いし、自分が不快で嫌だと思うなら関係を続けなければ良いだけ。無理して続けても自分も相手も不幸になるだけ。2019/08/12
キク
41
高校で寮生活だった。200人の1年生は体育館みたいな100人部屋2室で暮らす。2、3年は4人部屋に入るけど、同居人は自分達で4人連名で申請する。4人で組めなかった場合、学年の嫌われ者3人の部屋に強制的に放り込まれる事になるので、なかなかの人間ドラマが展開される。 3年時に部屋替えが出来るけど、進学校の3年だと友情だけでは部屋が組めなくて6割くらいの部屋が再編される。なんかお見合いと結婚と離婚みたいだった。他人と同じ部屋で暮らすことは地獄に繋がる可能性が有ると高校で学べたのは、その後の人生にとっては良かった2021/02/11
よしたけ
30
様々な夫婦への取材を通じ在り方を探る。現代は、女性社会進出や思想多様化により夫婦が分断されやすい。配偶者に期待する愛情期待水準が上昇したからと分析。戦後は豊かになることが家族目標で、愛情・コミュニケーションが希薄でも、互いに役割を果たすことで満足できた。他方、現代では基本的欲求は満たされ、お互いを深く満たしあわなければならない。さまよい・逃避・孤立する夫と、憤り・積極的・活動的な妻が増加。コミュ力や人的ネットワークを蓄える妻に比べ、職場以外での社会参加や人間関係に乏しい夫が老後は苦労しがち。2020/11/15
白ねこ師匠
16
[★★★/△]多くの夫婦たちへの長期間に亘る取材を経て、現代の夫婦のあり方や関係改善に向けた提言を記した一冊。様々な事情から冷え込み、その後収まるべき温度に落ち着く夫婦の実例がたくさん紹介されて、非常に興味深かった。しかし離婚を選んだ夫婦の少なさに驚き。最後にはお互いが相手を尊重し自分を省みる気持ちを思い出し、夫婦を維持したまま折り合うケースが多いということだろうか。一方、最後の関係改善への提言が残念。申し訳ないが当たり前すぎて拍子抜けした。私の読込みが浅い?少し古い本だから?でも結局それが真理なのだろう2024/09/08
Yuichiro Komiya
15
いろいろなケースの夫婦を長期間取材してどのようになったかを報告している。記載されている夫婦は、夫婦共働きでも役割分担でも、子供がいてもいなくても、大抵後々問題を抱えていて、そういうケースだけ選んでいるのかもしれないと思ってしまう。昔と違ってSNSやスマホ、ゲーム、AIなど様々な家族間コミュニケーションのリスクを高める要因があり、結婚後死ぬまで幸せに暮らすのが難しい時代になってると思う。2019/10/26