内容説明
アウシュヴィッツ、南京、ゲルニカ、沖縄、広島・長崎……。軍による市民の大量殺害はなぜ起きたのか。戦争や紛争による市民の犠牲者をなくすことはできるのか。様々な資料と現地取材をもとに、市民の大量殺害を引き起こす軍事組織の「内在的論理」を明らかにし、悲劇の原因と構造を読み解くノンフィクション。未来を戦争に奪われる子どもたちをこれ以上生み出さないために、いまわたしたちにできること。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
38
第二次世界大戦における市民の虐殺に焦点を当てた本です。「なぜ」への答えよりも、ではこの命の浪費をいかに記憶にとどめ、二度と起こさないようにするために人間は何をすべきなのか、という部分へ思いが行きました。軍人が命令を拒否することができる、というドイツの軍人法「抗命権」が紹介されていて、興味深かった。けれど読み終わって市民の権利がいとも簡単に自分たちが選んだはずの権力者によって奪われることに気づき…思わず無力感を覚えました。迷子になった気持ちです。2019/10/25
おかむら
36
戦争中に軍隊が一般市民(敵国の市民だけでなく自国の市民までも)を殺害したケースを検証。ドイツ軍のゲルニカ、アウシュビッツ、リディツェ、日本軍の南京、シンガポール、沖縄、アメリカ軍の広島長崎。作戦遂行のためには一般人の犠牲もやむなしという軍の論理や合理性、命令には絶対服従という個人の良心を思考放棄させる仕組み等、戦争という非日常時の恐ろしさに慄く。そして戦後の日本とドイツの反省の仕方の差! ナチスは酷いのは世界のみんなが知ってるけど日本軍も酷いよってのを日本人が一番知らなかったりするのはかなりマズイ。2019/09/12
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
18
20世紀は戦争の時代。全世界で2億人が犠牲になった。でも死者の内訳は兵士30%前後、残る70%は一般市民だった。軍による市民の大量殺害はなぜ起きたのか。市民の犠牲者をなくすことはできるのか。未来を、今を戦争に奪われる子どもたちを生み出さないために、できることはなんだろう?2020/03/23
どら猫さとっち
8
ゲルニカ、アウシュヴィッツ、南京、沖縄、広島・長崎…。第二次世界大戦の最中起きた市民の大量殺害。残虐な歴史の悲劇から、私たちは何を考え学んでいくか。人間の尊厳を問う一冊。主に日本とドイツが関わった殺戮であるが、この悲劇に目を背けることができるだろうか。タイトルにある子どもたちは、何の言葉も発せられないまま、犠牲になった者たちの象徴である。この悲劇を繰り返してはならないことを願う。2024/02/07
Hiroki Nishizumi
5
戦争について、軍隊について深く考えさせられる一冊。あまりよく分かっていなかったゲルニカの経緯。便衣隊への恐怖が生んだ南京虐殺。そしてそれが兵站線軽視に結びついたことは因果法則を彷彿させる。国を守る軍隊の言う国は、国民ではなく支配者であった沖縄の悲劇。忘れてはいけないし、支配者に盲従してはいけない。2019/08/06




