ことばを紡ぐための哲学:東大駒場・現代思想講義

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ことばを紡ぐための哲学:東大駒場・現代思想講義

  • ISBN:9784560096734

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内容説明

いま世界を覆っているのは、真実の声をかき消すほどの過剰なことばの氾濫である。インターネットでSNSを開くと、そこには匿名性をいいことに罵詈雑言が溢れ、次々に「炎上」が起こり、敵が敵を生んでいく。ことばへの応接はかつてないほど困難を極めている。
本書は、東京大学教養学部で行なわれた講義「グローバル化時代の現代思想」をもとにしている。きっかけは、2011年の東日本大震災と原発事故だった。
この災害を近代の必然ととらえたとき、「人文学」はいかなるあり方が可能なのか? 日常の感覚から思考を再出発し、学問の世界にもう一度、人間を取りもどすこと――その試みが本書ということになる。
食べる、味わう、話す、聞く、触れる、知る、分ける、待つ、耐える、歌う、忘れる、書く、隠れる……
ことばの過剰と氾濫から解放されたとき、近代社会が忘れた行為が恢復していく。福澤諭吉が軽んじた「味わう」という行為、「待つ」ことの背後にあった世界の持続、まだ「歌う」ことはできるのかという根源的問い、「隠れる」ことが孕む可能性。ともに生きる自由への珠玉の講義録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

my

2
「待つ・耐える」について:筆者がものを語るとき——とりわけ生について述べるとき——その織物を編むために彼の引いてくる糸の色鮮やかさ、思いがけない色を選び、それを用いて編まれた織物の上に新たに生まれた色合わせの美しさに常々目を見張る。見たことのない色彩と精緻な文様の妙にため息をもらす。甘く柔くならぬよう、鋭い色を編み込むその感覚に為人を見いだし憧れを向ける。この人の落ち着き払った鋭さがあらわれるところに邂逅する毎に恍惚とする。2019/07/10

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