内容説明
このラスト、予測不能。
衝撃の展開、底なしの邪悪…、人は平静ではいられなくなる。
ドイツ推理作家協会賞受賞『謝罪代行社』の鬼才が贈る衝撃の罠に誰もがハマる!
冬。ベルリン。闇に消えた子どもたち。ただ一人生還した少女…。凍てつく魂の闇を往く父親の彷徨。今と数年前の「時制」、わたし・彼ら・きみの「人称」、これらの錯綜が読み手を舞台へと引き込んでいく。迷宮の果てに待ち受ける驚天動地の真相とは!
【あらすじ】
雪の夜、ベルリン。13歳のルチアとその弟が何者かに誘拐された。2週間後保護された彼女はそれから6年間、謎の沈黙を守りつづけることになる――。一方、教師のミカはパブで4人の男たちと接触を持ち、仲間として加わることに成功する。それはずっと温めてきた計画の第一歩――ミカを衝き動かすのは、父親としての妄執にも似た狂おしい想いだけだった。予想を超える展開の果てに待ち受ける驚愕の真相とは? 黒々とした衝撃が胸を貫き、腹を震わせる傑作ミステリー登場! (解説・酒井貞道)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
77
分かり辛い部分もあったが全体としては楽しめた。話としては少女の失踪もの。これは過去に多くある題材だ。雪の夜に13歳のルチアとその弟が何者かに誘拐された。そしてルチアはそこから逃げ帰ったただ一人の生還者。しかしそれから6年間彼女の両親にも誰にも口を開かない。構成の凝っているとのはわたし、きみ、彼らという一人称、二人称、三人称で語られていくところ。章ごとに視点が変わるのだ。わたしの視点は最愛の娘を誘拐され、その復讐に萌えている父親。終盤に物語は思わぬ展開になるが、ミステリーの異色作と言ってもいいと思う。2019/10/06
あさうみ
55
……ふえっ!? サイコスリラーな展開から終盤で(個人的に)トンデモ展開だったで思わず目を白黒してしまった。狩られる者が狩る者になり、その負?の連鎖がずっと…ということか。ラジオの重要性がいまだ理解できないし、【彼ら】のパートを読み込む必要があると思うが、もう一度読むのは精神力ためてから(笑)2019/07/05
リッツ
34
ある日突然連れ去られる子供達、と言うとどうしても人身売買、小児愛と言う連想。ところがコレは又感覚が違う!脈々と継がれる歴史…?違う間違っている。そんな権利は誰にもないのだから。だから油断すれば反逆に出られるのは当然なのだ。でも、だから、やはりラストに具体性を求めたい。野暮でもなんでも。でなければ許せない、と思った。2019/09/26
星落秋風五丈原
31
皆さんおっしゃっているように人称の切り替えが若干読みづらい。でも復讐するつもりだった「わたし」の気は晴れたんでしょうか。2022/01/16
うーちゃん
26
幼い弟と共に誘拐された13歳の少女。2週間後に雪の中で発見された彼女は、その後6年間、一言も話すことはなかった---。一人称・二人称・三人称を使い分けながら進む物語。硬派で詩的な文章が美しいが、初め私には少し読みにくかった。欧ミスで子供が拉致されたらまあこうなるよね、、っていう暗い予想の、斜め上をいく暗黒。やや現実離れしたような真相ではあるが、厳寒の湖面に佇む"彼ら"のシルエットが消えることはない。"無垢"ということが意外な人物の救いになっているのが、皮肉でありつつも一筋の光だ。気になる作家に出会った。2020/03/09