内容説明
大ベストセラー作家の青春小説!
いつの間に、ぼくらの目は曇っていくのだろう?
会えなくなるとわかっていても、ぼくは君を守りたかった‥‥。
その日、映画の脚本家になることを夢見ていたぼく(佐々時郎/ジロ)は、駅前通りの本屋さんで『ハリウッドで脚本家になるための近道マップ』という名前の翻訳本を立ち読みしていた。
600ページもある高価な本だったから、夏休みに入った最初の日から毎日店に通って、少しずつ全ページを読破する計画だった。
その日も本に没頭していると、急に肩を叩かれ、ぼくは飛び上がった。
(本屋の親父さんについに見つかった!)
恐る恐る振り返ると、そこに彼女がいた。
南川桃(モモ)。
同じクラスにいたけど、一度も口をきいたことがない女の子。
女子のヒエラルキーでも頂点にいるのが当たり前のようなその子が、そのあとぼくに頼んできたのは、伝記を書くことだった。
「伝記? 誰の?」
「わたしの」と、彼女は言った。
『いま、会いにゆきます』『恋愛寫眞 もうひとつの物語』『そのときは彼によろしく』『こんなにも優しい、世界の終わりかた』――
市川拓司×小学館の大ベストセラー小説群に加わった傑作です!
※この作品は『MM』(単行本版)の文庫版となります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chiru
123
帯にはラストから一気読み!とあるけど、最初から一気読み、は本当でした!! ヒロインは美少女、でも病気もSFもない直球の青春グラフィティ。ミステリー要素で珍しいのは、ある社会的イデオロギーと青春が密着していること。「私の伝記を書いて」と「ぼく」に声をかけた女子との恋。素直になれない恋心から騙し絵みたいに浮かび上がるのは、家族という孤独、自由を求める代償、人生を懸けた決断。最後に明らかになる真相は心地よい衝撃。ふたりの“愛”の確かな存在証明を見つける物語。映画『ラブレター』を思い出す優しいラストでした。★42020/01/16
あおでん@やさどく管理人
49
【読メ登録777冊目】【第23回やさどく】単行本版で読んだことがあるので再読。描かれているのは、優しくて不器用な人が「マッチョ」な人たちのカモになってしまう世界。現実を見ても、そんな例なんていくらでもある。その歪みを、自分たちの方法で正そうとしたモモとジロと仲間たち。自分は彼らのような行動は取れないけれど、少しでも世界に「優しさ」を増やしていきたい。そんな思いを込めて「やさどく」イベントを続けている。やはりその原点には、自分が一番好きな市川さんの作品がある。2019/08/07
ゆいきち
43
良い意味で裏切られました。この表紙とあらすじで、ありがちなボーイミーツガールものかな〜とは予想していましたが。。15歳の、せつなくて純粋な、恋愛物語でした。語り口調がちょっとませてるけど、嫌いじゃない。映画の話をちょいちょい挟んでくるのも、わりと好き(全然分からないけど!)。あと、ヒロインはちゃんとヒロインだし、周りのキャラもいい感じ!とにかく、設定はありがちなんだけど、そこがいいし、読み終わった後の甘酸っぱさが何とも心地いいです!帯にはラストから一気読み!とありますが、正直最初から一気読みです。2019/11/27
馨
37
とても市川さんらしい感じの青春恋愛小説なのですが、う〜ん私には合いませんでした。学生時代に読めていれば何か響くものがあったかな?15歳の淡い思い出って感じです。2019/09/09
双海(ふたみ)
15
なるほど、そうきたか。久々に小説を読んだ気がしました。こういう本ばかり読んでいられたらいいのになぁ。2019/07/11