内容説明
プリンス、マイケル、マドンナと同時代を並走してきた
現代随一のポップ・マエストロ、
パディ・マクアルーンの音楽の魅力を解き明かす。
永遠に古びぬ音楽。
長年、パディを取材してきた著者が、
それぞれの作品に丁寧な解説を試みた一冊。
ニュー・ウェーヴ以降に登場した最高のソングライター。
聖歌、ゴスペルから、映画音楽、ティン・パン・アレー、ブロードウェイ…アメリカ音楽史をたどるように、
英国ニューカッスルから、普遍的なポピュラー・ミュージックを80年代以降の音楽文法で構築し、
映画や小説を創作するように、アルバムをつくったソングライターがいた。
「ヨルダン:ザ・カムバック」は文学作品のような素晴しい完成度で、ジェイムズ・ジョイスだって生きてればこの作品を誇りに思っただろう。(中略)
彼らの音楽はロックのカテゴリーには収まらない。
どちらかと言えば、レコード店よりも本屋さんで売られるべき作品だ。―― トーマス・ドルビー
アーヴィン・バーリンの〈ホワイト・クリスマス〉のような
ポピュラー・カルチャーを塗り替えるような曲が自分にも書けたらな、と思ったんだ。―― パディ・マクアルーン
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイコウチ
9
プリファブ・スプラウト(パディ・マクアルーン)の作品を年代順にたどりながら、その魅力について語る長編エッセイ。この本は楽曲分析や評伝を目指したものではないとの断りがあるが、文学や映画、音楽的先達などからの引用や影響について教えられるだけでなく、自分がなぜパディの音楽が持つ特別な切なさに惹かれるのかという理解の参考になる。個人的に選ぶなら「Jordan: The Comeback」と「Let's Change The World With Music」の2枚。それにしても埋もれている作品の多さには胸が痛む。2017/03/20
Tenouji
6
Prefab Sproutと言えば「Jordan: The Comeback」の衝撃が忘れられない。Jesse James Boleroとか。キラキラしてるけど、どこか神聖のある、あの感じ…で、久々に鑑賞。今も変わらない。プロデュースはトーマス・ドルビーだったのね。2017/12/29
tkdmsk
5
彼らの歌詞に頻出する、日本人には馴染みの薄い固有名詞・聖書の登場人物について詳しく解説されているのがありがたい。制作に携わったスタッフが他に手掛けた作品も掘っていきたい。2017/05/11
72ki
3
ぼくはプリファブ・スプラウトのファンとはいえないけど、それでも本書を楽しく読めたのは、「あの頃(80-90s)」の空気感に共鳴できるから、なのだと思う。久しぶりの『スティーヴ・マックイーン』は昔より良く聴こえたかも2017/07/05
ooui
2
イギリスのバンド、プリファブ・スプラウトの音楽の美しさには捉えがたいところがある。その美しさは時代を外れていて、それはバンドの中心人物パディ・マクアルーンの今ではなくなってしまったアメリカ文化への憧憬に、清らかな純粋さを感じるからだろうか。しかし、まごうかたなき美しさに偽りすらをみる現代的な感性に対し、その純粋さは無防備で傷つきやすく、あまりに可憐で、時として近づきがたい。2021/02/23