講談社文芸文庫<br> 風俗小説論

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講談社文芸文庫
風俗小説論

  • 著者名:中村光夫【著】
  • 価格 ¥1,254(本体¥1,140)
  • 講談社(2019/07発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062901413

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内容説明

花袋『蒲団』を一刀両断。明晰な論理で描く日本近代リアリズム興亡史――「『破戒』から『蒲団』にいたる道は滅びにいたる大道であったと云えましょう」。日露戦争の直後に起こった文壇の新気運のなかで、その後の日本文学の流れを決定づける2作品が誕生した。日本の近代リアリズムはいかに発生し、崩壊したのか。自然主義から誕生した私小説が、日本文学史に与えた衝撃を鋭利な分析力で解明し、後々まで影響を与えた、古典的名著。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

61
花袋論を書くために拾い読み。私小説の当時の文壇での評価の低さがよくわかる。2017/04/19

しゅん

14
想像以上に平易な文章でびっくりした。フィクションを構築する小説ではなく、『蒲団』以来根付いた日本の私小説に社会性が足りないとする。「事実」に価値を置く私小説の思想は身辺雑記の繊細な記述力だけを高める奇形的進化を遂げる。その進化を、ある種の歴史的失敗ととく。あとに柄谷行人が否定することになる「文学史」的思考が出てるとも感じたが、しかしやはり面白いし、なんらかの信頼に足ると感じる。この感じはどこからくるのだろう。2021/12/19

...

10
ロマン主義に対してのバルザックとかゾラとかスタンダールの提唱した自然主義。これは自然な振る舞いをする人間を描写、というか方程式の如く、こうなったらこう動くが万人に共有される程度の、類型的な人物描写を標榜していた。日本に輸入されたら、自然な振る舞いをする=作者と登場人物が一緒であれば嘘偽りのない”自然さ”を得られるだろうなどと”自然”の言葉の取り違えというか、拡大解釈が発生した、その戦犯は田山花袋だと中村光夫は指摘する。この時点で日本独自の私小説ができた。2020/05/04

oz

8
初読。中村光夫(1911-1988)による私小説批判で名高い書である。自然主義文学の定説によれば『破戒』は習作であり『蒲団』が最初の実作とある。中村は『破戒』の価値を再発見し、『蒲団』以降の私小説を批判する文学史観を提示した。本来のリアリズムは小説が仮構の世界であるという前提のもと、それを事実らしく支える細部を設える技巧であったが、私小説は事実であることが読者の前提であるため、リアリズムが自然の精緻な描写という技巧上の問題として受容された。古い本だが、今日でも私小説の理念はある種の倫理として残っている。2016/09/20

もりの

6
ぱらぱらぱら2017/07/14

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