内容説明
谷中霊園にかつてあった五重塔焼失の原因は“放火心中”でなく、“殺人放火死体遺棄事件”だという噂。電車が通ると響く女の悲鳴と1962年の日暮里駅で八人の犠牲者を出した三河島事故との関係は? 池を埋めると家が滅ぶという神田お玉ケ池。日本人の意識の底流に潜む“お玉”とは。何度も追突事故が発生する中央線の“魔のカーブ”、事故多発の踏切……。川のそばの“出る”と噂の幽霊屋敷、繰り返される連続火災に“助けて、出られない!”という女性の悲鳴、水難者の霊といわれる“黒い人の幽霊”譚、戦時中の練兵場だった公園に現れる女の幽霊と被爆死の関係は?
かつて事件や事故のあった場所、恨みを残して亡くなった人の思い、いわくつきの場所を歩き、現代から過去へ思いを巡らす。土地の記憶に耳を傾け、地元の住人に話を聞き、過去の新聞や歴史資料を集め、写真を撮る。消えゆく声なき声を蒐集した、怪談ノンフィクション。東京十四カ所、番外編として神奈川、群馬県の3名所も収録。単行本用にあとがきも書き下ろし。怪談雑誌『幽』に連載された傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
142
学生時代に帝銀椎名町支店や阿部定事件の料亭跡、円通寺の吉展ちゃん地蔵など東京の有名な事件現場を歩いたことがある。霊感ゼロ人間なので特に何も感じなかったが、現地で長く住む人には否応なく当時の記憶が澱のように離れないのだろう。そんな「何かが出る」と言われ続けた土地の民間伝承を掘り起こした本書には、世には知られていないが思いがけぬ事件で命を奪われた家族や友人知人の思い出を、簡単に消し去りたくない住民の思いが詰まっている。合理主義では解釈できない「平地人を戦慄させる」物語の種は、東京のど真ん中にも残っているのだ。2023/05/03
へくとぱすかる
83
怪異は、言い伝えられているうちに、何が真相であったかが、どうかすると忘れられてしまう。徹底した調査によって、著者は話の原型に近づき、隠れた歴史を復元しようと試みる。科学的なネタばらしではないので、怖さをそのまま維持しつつ読み終える。文章に学問的な嫌みがないので理解しやすく、メインの歴史には書かれていない、東京の過去を見た思いがする。造本もいい。2019/08/29
HANA
60
関東大震災や東京大空襲、今度またオリンピックでその姿を変えるであろう東京であるが、少し地面を掘り返せば過去がべったりとくっ付いてくる。本書はそんな東京の過去を旅する一冊。範囲も江戸時代のお玉ヶ池から最近起こった事件まで幅広い。とはいえ幽霊事件のタイトル通り、一番精彩を持って語られるのは怪談に関する事件。特に「赤飯怪談」は巷説に興味を持つものとしては避けては通れず、ラブホの幽霊話も背景同様妙ないかがわしさを持っていて忘れがたい。行った事の無い土地も多いが、現実と幻想の東京が二重写しになるような一冊でした。2019/09/21
かおりんご
32
ホラー。とても緻密に、その場所が何故心霊スポットと呼ばれる禍々しい場所になったのかを、歴史から紐解いていく話。体験談を期待していたら、事実考証がメインな感じだったので、さらさらと読む。一つだけ納得したのは、観音崎のこと。以前、ひとりで散策したときに、すごーく嫌な気分になったのだけれど、なって当たり前だったんだなぁと、この本を読んで思った。私の第六感は正しかったようです。2020/06/20
たまご
28
はじめなかなか読み進まなかったのですが,Aiさんの「怪奇なブラタモリ」という言葉を読んで切り替えができたのか,比較的スムーズに.今でも残っているところ,もうなくなってしまったところ.再開発でどんどん変わっていく街並みに,江戸,それ以前からの言い伝えが,でもひそかに残っている.そして,今現在も新たな淀みがうまれていく.そんな土地の凝りを感じました.2023/10/07
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