内容説明
あと5時間でこの世界は消滅する――。歴史を正しい方向に戻さなければ! 直木賞候補作となった記念碑的作品。
「あの戦争」で無条件降伏したはずの日本が本土決戦をしている――! 「その年」の10月にはいると、ソ連軍は敦賀に、アメリカ軍は四日市に大上陸作戦を展開した。18歳までの男子で本土防衛特別隊が組織されたが、ほとんどは全滅。いまや、山奥の農村の村民までもが敵に通じている。俺は敵弾をあび、頻死の重傷だ。その時、Tマンと名のる男が現われ、「この世界はまちがっている」と告げた――。時空を超えて日本の歴史の変革を謀る男の見たものとは?! 第50回直木賞候補作となった小松左京初期の傑作。貴重な図版を含む解説も収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れみ
78
第二次世界大戦で降伏したはずの日本。しかし少年たちの手には銃が握られ、本土での抗戦が繰り広げられていた…(表題作)。ある科学者によって変えられた歴史、その主張がものすごく偏った思想に思えつつも深く考えるべき問題もある気がした。NHK-Eテレの「100分de名著」で取り上げられているのを見て手に取ったけど、表題作はもちろん、「日本売ります」もショートショート集「ある生き物の記憶」も面白かったし、読んでよかった。機会があったらもっと長いものも読んでみたい。2019/07/27
shio
47
録り溜めた「100分で名著」を観て。本土決戦に突入し信州にいる大本営へ向かう瀕死の康夫少年。謎の青年が告げた「正しい歴史では日本は無条件降伏」は受け入れ難い“真実”だった…。実際に玉音放送を阻止するクーデターがあったことを思うと、まかり間違えば歩んでいたかもしれない行き先を示すものだと、背筋が寒くなる。「悲惨でない歴史かあるか?問題はその悲惨さから人間が何をかち得るかということだ。」後半のショートショート「ある生き物の記録」面白いんだけど、1つの話に入り込むタイプの私には、36編はものすごく疲れました😅2021/08/29
なつくさ
34
初読みの作家さん。100分de名著で話題ということで、平積みになってるのを発見。『地には平和を』1945年8月15日。ポツダム宣言受諾。しかし、少年は、銃を抱え抗戦していた。もう1つの歴史。あり得た歴史。『日本売ります』我々は本当にこの星にいるのか、疑ってしまう。もしかして、知らず知らず売られているのかも。『ある生き物の記録』ショートショート集。ひとつひとつの描写が上手で、1編で長編を読んだ感覚。だからか、疲れて、不思議と寝落ち。『伝説』『故障』『超能力者』など、お気に入り多数。他の本も読んでみたいです。2019/07/30
テツ
30
表題作『地には平和を』を読みたくて購入。1945年に終戦を迎えなかった日本と、その日本に生きる少年兵を、そして「本当」の歴史なら君はどんな未来を生きたのかを描く小松左京の実質的なデビュー作。これがほぼ60年前に素人が創り上げた物語なんだということに驚愕する。今でも全く色褪せないテーマとストーリー。絶望的な歴史のIFを提示することで今日の平和について無理強いせずに考えさせる力。物語の面白さと力を実感できました。小松左京は久々に読みましたが良いな。掲載されている他作品も全てが素晴らしい。2019/08/06
hide
25
昭和20年8月15日に終戦しなかったもう一つの世界。「日本はあの敗戦の中で何もつかまなかった。中途半端な妥協より徹底的な犠牲から何かをつかむべきではなかったか」時代を改変させてまでも著者が訴えたかったことは何なのか?地には平和を。では、天には何を願う。2021/02/03
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