新潮新書<br> バッシング論(新潮新書)

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新潮新書
バッシング論(新潮新書)

  • 著者名:先崎彰容【著】
  • 価格 ¥814(本体¥740)
  • 特価 ¥569(本体¥518)
  • 新潮社(2019/06発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784106108167

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内容説明

人間社会を善悪で二分したがる知識人、右も左も議論の底が抜け落ちた言論空間、異論を排除するだけの飽くなき他者否定、情報化社会への適応を叫ぶ教育論議――いったいなぜ、日本人はこれほど余裕を失ってしまったのか。くり返されるバッシングに浮かびあがる社会の構造変化をとらえ、異様なまでに「マジメ」な人たちであふれた「美しい国」の病根をえぐりだす。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hanchyan@連戦連勝の前には必ず負けがある

33
んーと。先ず何より、ここ数年来個人的に抱いてた、モヤっとした想念に輪郭を与えられた感じで。「一回立ち止まって俯瞰してみる」て大事だよな。や、今現在この時代に限らず常に。んで。著者の言う『辞書的基底』は、『日本人として』とかなんとか以前に各々が一個の考える葦として探り当てるべきものなんじゃね?とか個人的には思うんだが、それじゃ社会学ぽくないのか?(笑)。ともあれ、柳田翁をはじめ三島や安吾なんかをも引きつつ、冷静かつフェアに批評・評価の論を進める語り口に好感が持て、非常に興味深く読了。とてもとても面白かった。2020/01/15

trazom

31
バッシング、ポピュリズム、保守主義などの風潮を、表面的な現象を追うのではなく、それを生起させる現代日本社会の病根から炙り出そうとする。その根底にあるものを、著者は「辞書的基底の喪失」と定義する。絶対的な正義を失っているから、最後に辞書を引いた時の意味=最も「新しい」意味が正しいということにしてしまう。辞書的基底を奪われ、足元が瓦解しているのに、新しいものを追い求め続ける情報化社会の呪縛の中で、その場その場の状況に過剰に合わせながら生きていかざるを得ないことが、バッシングに繋がっていると、筆者は指摘する。2020/01/17

hk

20
本書最大の収穫は「資本主義は存続のために戦争を必要とする説」とその論法だ。市場経済は生産性の向上によってどこかの時点で供給過剰が慢性化する。いわゆるデフレ経済は企業に投資を控えさせ、この投資こそが市場経済の要諦であるため、供給過剰は資本主義を破壊していく。そのままでは資本はまとめてあの世行きとなるので、資本は国家権力をけしかけて戦争を行わせる。この戦争による目的は2つ。1つ目が「戦争によって軍事需要を作ってもらい資本側が一息つくこと(これは短期的目的)」。2つ目が「戦争で敵国の生産拠点を破壊する」こと。2019/09/07

tetsu

17
★4 恥ずかしながら著者の先崎さん、存じ上げませんでした。 著者が「辞書的基底を喪失した社会」とか「ものさしが不在の社会」と表現するように、価値観が多様化し、物事の絶対的な判断基準のない社会に我々は生きている。 だからかもしれないが、物事を単純化して2分論で賛成か反対かというような議論で判断しがちというか、マスコミ含め 誰も難しいことを言わなくなっているのでしょうね。少なくとも世の中、それほど単純ではないぞ、という意識だけは持っていたいものです。2022/05/02

遊々亭おさる

16
政治家や知識人が発する過激なアジテーションまがいの言動が憂国の純粋まっすぐ君の正義感に火を着けて、政治的狂信者予備軍を作っている。情報の洪水の中をもがきながら生きる現代人は絶対的な価値観を喪失し、つねに『新しいもの』を消費することで束の間の満足感を得ている。平成天皇が生前退位に言及された「おことば」に戦後日本の弱者軽視の価値観と天皇家を縛り付ける国民の無理解を見る。人は自分の信じる主義主張で相手を打ち負かすことに心血をそそぎ、攻撃性の塊になっていく。そして荒廃の日本を救うのは歴史と文学から人間を学ぶこと。2019/08/30

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