無責任の新体系

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無責任の新体系

  • 著者名:荒木優太【著】
  • 価格 ¥1,650(本体¥1,500)
  • 晶文社(2019/06発売)
  • ポイント 15pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794970763

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内容説明

海外に出かけテロリストの人質になると「自己責任」論が叫ばれる一方、甲子園球児の不祥事が発覚するとそのチームが不出場となるように「連帯責任」の縛りも強い。若者は、社会から同時に押しつけられる「責任論」とどう対峙すべきなのか? 自由に生きる道はあるのだろうか? 丸山眞男、和辻哲郎、高橋哲哉、加藤典洋、ロールズ、アレント、レヴィナスらのテクストを読み解きつつ、日本社会における匿名性の可能性と限界について考察するフリーター系社会超批評。作戦名は「ウーティス(誰でもない)」。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さえきかずひこ

11
著者は2015年にロールズの正義論を論じた『反偶然の共生空間』でデビューした。この論文はわが読書会で著者本人に解説してもらったにもかかわらず理解が難しかった。だから、いつか読み返そうと思いながら、ずっと再読しあぐねている。そんなことを第5章を読んでいるときに思い出した。荒木さんはアレントやレヴィナスを引き合いに出して責任や正義といった人間の倫理について考察を続けているし、これからも続けていくのだろう。ぼくも地道に"物語を読むこと"を続けていこうと思う。彼に決して及ばないのは明白なのだが、まずはカントかな。2019/03/27

shouyi.

5
最近、富に価値を下げている「責任」の所在を探すことから始まり「自己」の意味まで考えさせてくれる。哲学は素人と言いながら、さまざまな思想家、評論家の言説を取り上げ的確な論を展開している。荒木優太注目していきたい。2021/06/20

糸くず

4
和辻哲郎の間柄論→アレントのペルソナ論→レヴィナスの「顔」まではサクサクと読み進めたのだが、ロールズの「無知のヴェール」からのテキスト論の流れがうまくたどれなかったというか、責任論から物語論への転換が今一つピンときてないというか。神の視点のような高みからの公平性ではなく、違う角度からの読みが幾重にも折り重なる広がりからの公平性を志向すべきで、無知な大衆の文脈を無視した無責任な読みに、そうした水平的な公平性への糸口を著者は見ている。しかし、大衆は無知だからこそ誰かの読みに寄りかかって満足するのではないか?2020/10/16

古戸圭一朗

2
とても読みやすいのだが、一読して理解できたかというとかなり怪しい……。個人に責任を追及する「自己責任」は、実は「無責任の体系」とつながっている。責任概念を如何に精緻化しても「無責任」という網から逃れるのは難しい……。その網から逃れる道があるとすれば、視点を変えて無責任という体系を利用するのはどうか、そしてそのヒントとしてロールズの「無知のヴェール」を引用している。と思う。これが「正しい」読みなのかわからないが、著者が言うように、「頭の悪い読者」の一人として、この無知かもしれない読みをとりあえず記したい。2019/03/13

Mealla0v0

2
非常に軽快な文体で、論理展開が面白い。本書では、責任の過剰さが結局は無責任に帰結するという問題提起から始まり、和辻やアレント、レヴィナス、あるいは歴史主体論争を題材として、責任/無責任をめぐる「主体化」(著者はこの語を述べてはいないが)の問題が語られている。《無責任は責任を自問する責任という二重化した責任の、その二重性を支える間の距離を切り開く》。無責任な匿名の存在とは、すなわち、「誰」でもない者は、「何」にでもなれるというのだ。2019/03/09

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