講談社学術文庫<br> 純粋な自然の贈与

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講談社学術文庫
純粋な自然の贈与

  • 著者名:中沢新一【著】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 講談社(2019/06発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062919708

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内容説明

モースの贈与論、マルクスの剰余価値説、キルケゴールの愛の思想、レヴィ=ストロースの構造主義を超えて、価値増殖の本質を解き明かす未来の贈与価値論、ここにはじまる! 贈与は結びつけるエロスを、貨幣は分離するロゴスを持つ。すべての富は、物質性をもたない「無」の領域から「有」の世界に贈り物としてやってくる。古式捕鯨の深層構造を探る「すばらしい日本捕鯨」、モースの思想的可能性を再発見する「新贈与論序説」などを収録。贈与の原理を、経済や表現行為の土台に据え直し、近代の思考法と別の世界を切り開く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うりぼう

46
2010年、私のベスト8位。心の中に暖かい芯ができた。「贈与」は「交換」と違う。彼は新しい「霊の資本論」と説く。田坂広志の「目に見えない資本主義」に繋がり、糸井重里の「ほぼ日」のであり、広井良典の「コミュニティを問い直す」へ続く。「すばらしい日本捕鯨」はめっちゃ面白い。チベットの死者の書」の「静寂尊」と「憤怒尊」は、河合隼雄の「影の現象学」であり、分つことのできない両面である。「無」と「有」は「贈与」と「貨幣」であり、「奇跡のリンゴ」に通じる。矢田さんの「外食での日本の割り勘は、中国人の理解の外」が当り。2010/01/24

またの名

9
親友がプレゼントをくれたと思って喜んだら「◯◯円ね」と値段を言い添えられた瞬間の前後で生じた差異を、贈与から商品への移行として見る著者。贈り手が友であれ労働者であれ自然であれ、本書が霊の運動と呼ぶエロス的結合力を持つ贈与は測り切れない富とエネルギーを人々の間に注ぎ込むのに対し、等価交換の原理に取り込まれるや数量化する価値へ換算され友の間の結びつきも分離。霊というワードが落ち着かないけど、すべてを数量に換え比較計算し効率化すると騙るその原理は確かに、数量化不可能な外部に依存しそれを搾取しなければ成立しない。2023/04/04

水菜

4
「すばらしい日本捕鯨」が気になって購入。日本の伝統捕鯨が鮮やかに描写される。鯨になったつもりでその感覚を想像してみるのが楽しい。鯨と人間とのたたかいも壮絶である。おおきな力と力の相互作用として、自然から人間への贈与としての捕鯨。某自然保護団体も連想しつつ読んだ。「ゴダールとマルクス」も面白かった。先日読んだ「貨幣論」との関連も興味深い。エネルギー政策にも自然からの贈与を考えると面白いかもしれないと感じた2014/06/30

Bartleby

3
「すばらしき日本捕鯨」が面白い。イメージが生き生きと浮かび上がってきて、ひとつのドラマを見終えたたような読後感がある。2013/04/22

む け

2
「贈与の霊性」についての本。贈与は貨幣という抽象化の力から逃れ、人間を自然との関係に強く結びつけるとともに、人間社会を動かすという面を持つ。ここにあるのは純粋な消尽の次元であるとともに(これは別に本の中では語られていないが)、強度、生成の生々しい顕現である。ということを日本の捕鯨や伊勢神宮、さらにはクリスマスと結びつけて述べているのだが、そもそもモースやバタイユといったその手の論者たちはその力が言語化できないがゆえに論証を欠いてしまっているので、これは真理についての本というより倫理の本として読みたい。2013/01/14

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