内容説明
京都学派の巨人=田邊元、ここに甦る! 「種の論理」「友愛の哲学」とはなにか? 対称性人類学が田邊哲学の現代性を明らかにする! 一九二〇年代以降、田邊元と西田幾多郎は日本的・独創的哲学=「京都学派」を創造する。田邊哲学=愛の哲学と西田哲学=欲望の哲学との対決から誕生した「種の論理」。その最重要の達成は、二十世紀後半から展開する現代思想、構造主義、ポスト構造主義、「野生の思考」、認知科学を先取りしていた。豊饒なる田邊哲学の全貌に迫る。
目次
プロローグ
1 種の論理――来るべき哲学
第一章 微分的練習曲
第二章 ある種の社会主義
第三章 構造主義と種の論理
第四章 多様体哲学としての種の論理
第五章 個体と国家
2 「場所」の精神分析
第六章 欲望としての西田哲学
第七章 場所-の-名前
第八章 狂気と叡智
第九章 対決西田哲学
3 最期の田邊哲学
第十章 愛の戦いとしての哲学
第十一章 哲学から非哲学へ
第十二章 絶対無に結ぶ友愛
エピローグ 非モダンの哲学へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くみ
3
【BIRTHDAY BUNKO】自分と同じ誕生日に生まれた著名人の本を読んでみようと買ったが、哲学の専門知識がない私にとっては難しく読み終えるのに1ヶ月もかかってしまった。作者の中沢さんは哲学者。日本を代表する西田哲学と田邊哲学の対比が説明されている。こんなすごい人が同じ誕生日だったのね!と知る分には充分すぎる内容だった。2016/01/02
悠
2
フッサールとハイデガーのような、西田幾多郎と田邊元の間にかわされた、創造の火花散る師弟関係。後継指名の実りある挫折を導きの糸にして、田邊を現代哲学の最前線に召喚してみせた、巻を措く能わずの論考だ。仏教の悟達のように、無の場所にじかに至ろうとする西田にとって、類と個(普遍と個別)の間に媒介となる「種の論理」をおくことで、あくまで論理的に無へと漸近する田邊の横槍は、相当堪えただろう。互いに独創的な道を極めながら、最期に「無の場所」で再会を果たすドラマチックな展開は、日本の哲学に豊かな厚みを与えることになった。2015/02/22
たしかにわたしがうえのです。
1
あれだ。これは色々な意味で「ヤバイ」。何がヤバイって読めない、っていうか読みようがない。ある程度の知識が入っていないとそもそも論で何が書いてあるかわからないし、ある程度の知識を持っている健全な読み手なら、忌避するのが当然のように思う。だって、この本全体を議論しきれるだけの知識はあまりに膨大すぎるから。でも、その膨大さはある意味ではヒントにはなるし、勉強にもなる。きちんと原典に当たるということを保留条件として。「ヤバイ」。「コワイ」。2011/11/04
中村蓮
0
構図としては面白いけれど、、、2023/06/17
ちゃちゃまる
0
中沢マジックで、難しい内容がするすると読めてしまう罠。西田哲学・田邊哲学の対比とそこに込められた想いが少し見えてきました。面白かった。2014/03/22
-
- 電子書籍
- 大震災予兆リーディング