アースダイバー 東京の聖地

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アースダイバー 東京の聖地

  • 著者名:中沢新一【著】
  • 価格 ¥1,540(本体¥1,400)
  • 講談社(2019/06発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062209441

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内容説明

2020年の東京オリンピックを錦の御旗に東京は大改造をされようとしています。レガシーを作ると言って、本物のレガシーを破壊していいのでしょうか? 築地市場の豊洲への移転が、決定しました。しかしアースダイバーは言っておきたいことがあります。なぜ、築地でなくてはならないのか? 日本人と海の関係、古代から連綿と続く、市場の特別な機能、江戸時代から紆余曲折を経て現代に繋がる歴史……。築地という場所が孕んでいる聖地性が見えてきます。仲卸の果たす重要な役割、博物館に匹敵する海産物に対する深い知の体系。効率だけを考えた豊洲市場への移転はこの国の文化の大切な暗黙知を消滅させてしまいます。2014年には新国立競技場のデザインと費用について、大論争が巻き起こり、最終的にはザハ・ハディッド案は廃案に追い込まれました。独創的なデザインの新国立競技場に、無意識的になんかおかしいぞと感じたのはなぜでしょうか? アースダイバー的視点から、その理由をあらためて解き明かしてみると、外苑と明治神宮との不可分な関係があったことに気づかされます。アースダイバーの号外として、静かだが重要な提言をします。/【目次】序文 聖地の条件/第一部 アースダイバー築地市場/はじめに 海と日本人/1 神々の空間/2 魚河岸の原型/3 江戸の魚河岸へ/4 日本橋から築地へ/5 築地--新しい魚河岸文化/地図1/東京の聖地1【写真】大森克己/《対談》 みんなの市場を目指して 伊東豊雄×中沢新一/第二部 アースダイバー明治神宮/はじめに 二つの森/1 森に包まれた神社/2 内苑-外苑の二部構成/コラム 日本の相撲/地図2/東京の聖地2【写真】大森克己/《対談》 B案の思想 伊東豊雄×中沢新一/謝辞

目次

序文 聖地の条件
第一部 アースダイバー築地市場
はじめに 海と日本人
1 神々の空間
2 魚河岸の原型
3 江戸の魚河岸へ
4 日本橋から築地へ
5 築地--新しい魚河岸文化
地図1
東京の聖地1【写真】大森克己
《対談》 みんなの市場を目指して 伊東豊雄×中沢新一
第二部 アースダイバー明治神宮
はじめに 二つの森
1 森に包まれた神社
2 内苑-外苑の二部構成
コラム 日本の相撲
地図2
東京の聖地2【写真】大森克己
《対談》 B案の思想 伊東豊雄×中沢新一
謝辞

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

38
昔、オウムを擁護したとして非難されたり、政治的なアクションを起こしつつも中途半端だったりと、影響力の大きさ故か、高度成長育ちのお気楽さ故か不用意なときがあります。築地市場と明治神宮は古代性が無いが、「聖地」という言い方で誤魔化すのは、五輪と築地移転に働きかけたいからだといいます。読者の多くが著者の政治的センスを疑っているはずで、築地移転がなされた今、振り返ると、かえって保守主義にみえるのが残念なところです。豊洲の労働者は日々働いているはずで、それを理屈の弱い観念で処理することこそ暴力的だと思うのですが…2019/05/22

たまきら

36
2017年出版、既に移転されてしまった築地市場、そして現在再開発で揺れている明治神宮が「日本人」を形作ってきたものを体現したものであり、それを壊すことへの危惧が強く伝わってきた。「ほんものの保守思想の根源がここにある」と帯にあるのだが、これはいつも左右翼のきめつけのコメントを読むたびに自分がモヤモヤする部分と関係している。豊洲にすでに移転してしまった今、次にできることはこの場の「聖地化」であろう。その聖地化の積み重ねが日本を形作ってきたのだと思う。この本面白かった。2023/06/06

koji

20
人工的に作られた築地市場、明治神宮は、第四紀の地形上に繰り広げられた古代日本人の精神活動から日本のありようを考えるアースダイバーとは異なりますが、日本人の伝統的思考が入り込んだ聖地という点では、アースダイバー的と言えるものです。中沢さんの理論を借りると、築地市場の仲卸の機能は、商品流通を文化の次元に高めたもので日本の伝統そのものであり、明治神宮の森は、仁徳陵の森造りを参考に自然と科学技術のハイブリッドとして作られた聖地そのものとなります。その理論展開は推理小説の醍醐味を感じさせ、知的に興奮した1冊でした2021/12/21

kk

15
今回のアースダイバーは、東京の新しい聖地として築地市場と明治神宮に注目。前者については、日本人の海民的性格の残滓としての面に注目するとともに、市場の昔ながらの「仲卸」機能を、自然と人間社会の中間・混淆を重視する原日本的思想の表現として捉えます。後者については、神宮の内苑・外苑二重構造が、前方後円墳や伊勢神宮などと同様に、隠れる面と現れる面との繋がりとしての「ミアレ」を表現するものとして受け止めています。些か胡乱な香りもなしとしませんが、少なくとも思想的な戯れとしては刺激に満ちた読書体験でした。2022/03/15

みやざき しんいち(死ぬまでにあと1,000冊は読みたいんだ)

9
(46/1000)築地の移転、国立競技場の建て替え。それはただの建物の建て替えではなく、歴史と土地に刻まれた時間を体現するのもであるべきだ。「アースダイバー」とは、地理と時間を縦横無尽に理解しながら、現在そこになにがあるべきなのか?を問うシリーズ。思想家中沢新一の真骨頂な一冊。 今回は、なぜ神宮が内苑と外苑を持つのか?がとても興味深かった。そこに建つべき国立競技場はどうあるべきか、説得力があって面白かった。2018/06/21

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