内容説明
最善の治療の選択とは、患者に必要な場とは。いのちを紡いでいく力になることとは。「がん時代」、そして未来に向けての書。
目次
はじめに
序 治療 突然がん患者になった私
Ⅰ 学ぶ 患者としての好奇心
Ⅱ 直面 患者の声は届いているか
Ⅲ いのち ずっと考えてきたこと
Ⅳ 今 生きてきたように闘病する
生きるための言葉を探して あとがきにかえて
付 透き通ってゆく卵
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
83
テレビのプロデューサーやディレクターを務めていた著者が突然の膵臓がんの宣告を受ける。手術後の完治率もよくないがんだ。これからどのような治療や食事、抗がん剤、副作用のことを知る。1章では患者としての好奇心、2章では患者の声は医療システムに届いているか、いのちについて、インフォームド・コンセントや医療の進歩などが、がん患者の目線で書かれていた。私の家族のがんで亡くなったりかかったりしたものがいる。がんの辛さはやはり本人が一番つらい。はげますことも必要ながらがんの正しい知識を持つことも大切だと思った。図書館本2019/04/02
佐島楓
68
がんに限らず、重篤な病気と共生なさっている方々はたくさんいらっしゃる。病者でない人は、病者に対する想像力が働かないのはなぜなのか、病者である私はつねづね考えながら生きてきた。人生の延長線上に病があり、病の延長線上に死がある。それを当たり前だと私は思い、受け入れているのだが、健康な人はそうではないのだろうか。そのへんがどうしてもわからない。本書も読んでいて同じことを思った。その中でも優れた提言をなさっていらっしゃるので、お読みいただきたいと思う。完全に健康な人間なんて、世界中に一人もいない。2019/06/08
アキ
41
自分より4歳年上の50台のNHKテレビ編集長のキャリアウーマンが膵臓がんと診断された。2016年5月に発症し、2018年2月からただ自分自身の声を頼りに書いた闘病記。2019年2月に出版。手術からスタートし、種々の抗がん剤と数多くの副作用。強く印象に残った言葉は次の2つ。「言葉は力になる」著者・「隠喩や神話は人を殺す」スーザン・ソンタグ。夢や希望がないと人は生きることができない。がんになった人はそれぞれの物語がある。いつかなるというのが明日でないという保証はない。毎夜今日という一日に感謝して明日を迎えよう2019/03/16
trazom
32
NHKの総合テレビ編集長などを歴任された著者が、自らの膵臓がんの治療を通じて見たこと・感じたことが綴られている。決して情緒的にならず、医療を客観的に見つめ、患者の目線で感じたことを知的に語っておられる姿勢が心を打つ。あとがきで、「闘病の経験が、個人や家族に「閉じない」ことを目指した」とあるが、「伝える」という使命感に燃え、それを支えたのが「言葉の力を信じること」だったと言うのは、正にジャーナリストである著者の生き方そのものである。この著者の人間としての立派さに、何度も目頭が熱くなる。ご冥福をお祈りしたい。2019/05/20
マイケル
10
この著者の出生前診断関連の本を探していた所、まさかの闘病記発見。5年生存率9%という膵臓がん。「死の隠喩」としての「膵臓がん」を批判。抗がん剤に否定的な近藤誠医師にも言及。NHKディレクターという職業がらか、映画やTVドラマを引用した説明で分かりやすい。映画「アポロ13」、「タイタニック」など、TV「サインはV」、「相棒」、「ドクターX」といった民放ドラマに言及。(そのため岩波に?) 途中の「コラム 命に序列をつけることの誘惑」や遺稿(?)「透き通ってゆく卵」など生命倫理関連の本をもっと出して欲しかった。2020/02/07
-
- 電子書籍
- 殴れ!帝城高校拳闘部 「あまぼく」血と…
-
- 電子書籍
- ホラー シルキー 永しえ町の物語 第2…
-
- 電子書籍
- けむりを吐かぬ煙突 古典名作文庫
-
- 電子書籍
- おわるうございます~葬儀社人情物語~ …
-
- 電子書籍
- ファウスト(第一部)