内容説明
個体的存在としての人間を定位するとき、罪、自由、信仰が不安の概念のうちに結びつく。ハイデガー、実存主義哲学に大きな影響を与えた思考の、デンマーク語原典からの新訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Uncle.Tom
13
かなり難解でした。途中で挫折しそうになりつつ、一通りの通読です。とりあえず、今通読しておかないともう手を出すこともないかもしれないという思いに駆り立てられての読了です。キェルケゴールの不安に対する概念は独特なものです。一般に認識されているような、外界に対して生じる不安とは区別されます。基本的にキリスト教信仰が基盤に据えられている故に、理性では及ばぬものから出てくる、ある種直感的ともいえる不安といった感じでしょうか。代表作である『死に至る病』を読み込んでおけば本書も理解が促進するかもしれません。また読みます2019/10/22
K
10
『死に至る病』より一層抽象度が高く、難解だった。本書は、「不安」の心理学的一考察であり、原罪をめぐる教義学の範疇には及ばないが、原罪と不安は関係を持っているため、教義学への手引きとして据えられている。ヘーゲル批判、不安と自由について、独自の時間論他。訳者のまとめを借りると、「精神は自己の可能性をのぞき込んで、その底知れぬ深さに思わず「めまい」を覚えることになる。これが「不安」という精神現象」である。最終章で、”徹底的に”不安に陥り、極限まで神からつき離れることで、救いへ最接近できるという展望は見える。2025/12/07
evifrei
9
キルケゴールの哲学は抽象的で難しい。キリスト教の知識ではなく、キリスト者としての精神が読解には必要となる。本書で検討される『不安』という概念も罪と共に世界に入ってきたものとされており、『不安』は『有限なものに関した不安』と『信仰に至る不安』という二つの形を区別して捉えられる。後者の不安は、自由への可能性故の不安であり、これだけが人間を上昇させる。身体的であると同時に精神的存在でもある人間は可能性が増える程に不安になるが、不安ゆえに人間は神の道へ至る事ができる。動物でも天使でもない人間だけが持つ心理である。2020/01/14
amanon
7
その十分の一も理解できていないというのが正直なところ(笑)。でもとにかく読み進めないとという思いで読んでいた。文体とも内容とも言えず、いわく言いがたい何かを感じていたのだと思う。ただ、恐らくキリスト教神学の素養がない多くの読者が、本書に頻出する教義学という語をどれだけ理解しているのか?というのが気になる。また僕自身、本書における教義学の位置をどれだけ正確に理解できたか?と言われると甚だ心許ないが。また、詳細な訳注及び、解説により、著者の学問的背景が克明になったのが、有益だったのと同時に驚きだった。2019/09/11
Iwata Kentaro
6
アダムの原罪から不安を論ずるところは、知識云々よりも「それには関心ない」になってしまいがち。拾い読みしました。2023/03/12
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