内容説明
外交官時代に見聞した「男の嫉妬」、作家として付き合い編集者たちに感じる「自己愛の肥大」。自分自身を制御できない人たちは、やがて周囲と大きな軋轢を起こす。彼らにどう対応すべきか。自分がそうならないためには何をすべきか。小説や、専門家との対論などを通じて、嫉妬と自己愛を読み解く。
目次
第一部 嫉妬と自己愛の時代
第二部 嫉妬と自己愛をめぐる対話
第三部 人生を失敗しないための「嫉妬と自己愛」講座
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はたっぴ
108
前半は数冊の小説を取り上げて人間の情緒について論じているが、古典小説と現代小説では、登場人物の感情の渦巻き方が異なることに刮目した。昔は健全な嫉妬から人としての成長が図れたが、現在は嫉妬せずに不健全な自己愛に走る若者が多いとの指摘。それは著者の社会圏で起きている現象と言うが、後半はその考えを裏付けるような(専門家との)対談がなされている。会社存続のカギは若手の成長だと思うのだが、残念ながら年々離職率が高くなっている。その理由を本書で探ることが出来た。読書で代理経験を積むことの大切さも説かれていて強く同意。2017/03/16
ehirano1
88
人生においては時にどうしても逃げ出せない人間関係に対面することがあり、そういう時には良い小説を読んで、代理経験を積んだ上で現実に対処すると良いが、そのためには『小説の読み解き』が必要、とのこと。本書ではこの『小説の読み解き』が重視されているそうです。確かに普遍的なことはギリシア悲劇物語から変わりませんし、時代を映し出すのが小説であったりもすると思います。問題は「良い小説」に如何に巡り合うかですね。その意味で読メは最高のツールだと思います。2021/10/18
ehirano1
85
愛には「エロス(自分に欠けているモノを求める)」、「アガペー(無償の愛)」、「フィリア(友愛)」の3種類あるということだけでも面白いと思いました。ところで“自己愛”なるモノはこの3つのどれにカテゴライズされるのでしょうか?おそらく状況によってカテゴライズされるのではないかと云うのが当方の今のところの結論です。2017/09/09
ehirano1
78
「人間には目に見えず数値化することもできないが、確実に存在する重要な価値がある。世界宗教と呼ばれるキリスト教、仏教、イスラム教はそのような価値を教えの基本にしているので長く存在することが出来ている(p17)」。確かに一理あると思い唸ってしまいました。因みにキリスト教では、そのような価値の中心になるのが「愛」だそうです。イスラム教や仏教では何になるのでしょうか?イスラム教は分かりませんが、仏教では「無」ですかね?2022/01/17
ehirano1
77
嫉妬という感情には「前進のエネルギー」になりうることもある、と云う件は知りませんでした。何事も一元論的なモノの見方をしなければこういったことも見えてきそうです。塩野七生さんも「全ての事には正と負の両面を兼ね揃えている」とローマの物語で述べていたのを思い出しました。2017/08/05
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