内容説明
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『赤の書』は、ユングの思想的な起源を正しく理解するための必読書であると見なされながら長く公刊されることがなかった。死後50年をへてようやく世界同時刊行され、日本語版も出版された。さらに5年後、より読書に適した携帯可能なサイズのテキスト版が刊行されたが、図版はオリジナル版に頼るしかなかった。本書は、テキスト版と一緒に図版を手軽に見ることができるようまとめられたコンパクトサイズ図版集である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
9
図版版は中世イコンのような色彩溢れた図像から成る。文字の解説はなく、文字も意味を離れたデザインとして図との境界を曖昧にする。夢を文字で記述しながら図を描く理由を、著者は後にマンダラを見て理解したという。これら色鮮やかな図像に多く見られる大小様々な円は、そこに描かれるキャラクターが連想させるエピソードを超えて、カオスに飲み込まれないためのマンダラ的な観想を促す役割を果たしたようだ。大脳皮質から脳の中心へ、文字のエピソード記憶から色彩の感覚記憶へと退行して内面のカオスに接近する過程は、図で表現されたのだろう。2021/06/03
れい
7
Ich kann nicht lesen Deutsch.2018/02/03
人事屋パドー
2
読んだというか、厳密にいえば眺めた。本書に五千五百円の価値があるかと問われれば、人それぞれという凡庸な答えしか用意できない。私の場合は定価を凌駕する価値が迫り上がってきている。ユング博士がこれほど絵画の才能に恵まれていたことを知るだけでも十分価値がある。おそらく頭の中はイメージの嵐が常時吹き荒れていたのだろう。2020/02/02