NHKブックス<br> 壱人両名 江戸日本の知られざる二重身分

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NHKブックス
壱人両名 江戸日本の知られざる二重身分

  • 著者名:尾脇秀和
  • 価格 ¥1,408(本体¥1,280)
  • NHK出版(2019/06発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784140912560

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内容説明

江戸時代の身分はピラミッド型の「士農工商」で一生変えられない─。こんな“常識”はもう古い! ある時は侍、ある時は百姓、と自在に身分を変える「名もなき男たち」が全国に無数にいた。彼らはなぜ別人に成りすますのか? お上はなぜそれを許容したのか?期待の新鋭が常識を覆す、仰天の日本史!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

徒花

154
おもしろかった。江戸時代というと士農工商によって厳格な身分制度が敷かれていると思われがちだが、実際には「たまに農民だったり武士だったりする」ような人たちも少なからずいて、それを統治者側も事実上黙認していたというのをさまざまな文献から事例を交えつつ説明し、窮屈な縦割り社会の中でいろいろうまいことやっていく、建前重視の日本人の社会秩序の概念について理解を深められる一冊。そこそこボリュームがあるので、読むのがちょっと大変かも。2020/01/02

kawa

44
「壱人両名」とは、江戸時代に様々な理由から、一人で二つの名前と身分を使い分けたことを言い、それは決して珍しいことではなかったというのだ。極めつけは、武士身分売買に公定価格の定めがあったのだそうで、出自・名前不詳の者が、金貸しをしながらその財力で与力、そして将軍御目見え格の旗本株まで買収して、江戸城に出入りしていたという驚愕の事実も紹介されている。江戸の世と言えば「士農工商」の堅固な階級社会と思っていただけに、それを覆すびっくり事実がとても興味深い。2020/11/25

樋口佳之

43
身分制は“建前"… ピラミッド型の「士農工商」…こんな“常識"はもう古い! ある時は侍、ある時は百姓、と自在に身分を変える…彼らはなぜ別人に成りすますのか? お上はなぜそれを許容したのか? /アマゾンのコピー通り大変面白い内容でした。でもこのコピーは内容への誤解も誘うと感じました。確固とした身分制支配(この内実について本書に蒙を啓かれました)を前提として、現実に逸脱があった場合、治者被治者それぞれ「うまいこと」事なきを得るために広がった、故に明治近代国家によって厳しく禁止された現象だったのだと読めました。2019/06/08

きいち

40
一つの組織に埋め込まれた昭和から、個人を主に複数のアイデンティティをパーパスでつないでいくこれからの時代のキャリアにとって、すごいヒントがある本なのではないか?とドキドキしながら読んだ。近代の国家ー組織ー個人の一所懸命な関係が、ムラ社会とか言われながら全く日本古来の伝統でもなんでもなかったという幻想外し、創られた伝統の暴露。枠組のなかで身分や所属を空気読みながら使い分けていた、ということ。資料も記録もとうに失われてしまったけど、百姓やりながら大坂で商人やってたウチの先祖もこれやってたのかもと思うと楽しい。2019/08/12

うえぽん

39
江戸期の壱人両名(1人が2つの名前と身分を使い分ける形態)と明治期における消滅について、古文書から多くの実例を見出し解説した力作。①両人別(二重戸籍状態)、②秘密裏の二重名義使用、③身分(町人等)と職分(医者等)による別名使用のうち、①②は非合法とされたが、いずれも縦割りの支配の管轄を保ちつつ、支配を跨ぐ活動を表向き問題なく実現するための方策だったと評価。建前と実態のずれの黙認も知恵だったと思うが、それより公平性を求める感覚が、壬申戸籍からマイナンバーに至る壱人両名的存在の否定に繋がっているのではないか。2024/05/08

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