内容説明
生命科学の現場を世界各地で徹底取材。
医学と人体の常識を覆す1冊!
すべての細胞がメッセージを出し合うことで、
私たちの生命は維持されている――
この人体観は、最先端の中の最先端です。
――山中伸弥(京都大学iPS細胞研究所所長)
いま、生命科学の進歩により、「脳を頂点とするピラミッド」という人体観が覆されようとしている。臓器同士のメッセージのやりとりが、私たちの体を支えるカギとなっていることがわかってきたのだ。人体はどのように成り立っているのか? そもそも、病気とは何か? 健康長寿を実現するためには何が必要なのか?
最先端の医療現場への取材から得られた知見を基に、新たな人体の姿を描く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
74
Nスぺで取り上げられたのが一般的にはおそらく最初だった「メッセージ物質」。番組も漠然としか見ていなかったため、読んでみて驚いたり「なるほど」と感心したり。山中先生が最新の知見にお詳しいのは当たり前だと思っていたら、iPS細胞研究に深い関係がある物質だったり、果ては哲学めいた話に突入したりと、普通に読んでいてとても刺激を受けた。何より生きてディスプレイに向かっているあなたも私も一個の細胞から発生しているという事実、それに強いインパクトと深い浪漫を覚える。誰がこんなこと決めたの?2019/05/13
きみたけ
65
面白かった!(湯川先生風に言うと「実に面白い」)NHKスペシャル・シリーズ「人体」8話をまとめた一冊。「脳を頂点とするピラミッド」のイメージをくつがえし、臓器同士・細胞同士が互いに語り合う(メッセージ物質を受け渡す)という。心臓くんが「ちょっと疲れたな」とつぶやくと、腎臓さんが「おしっこ出して血液量減らすね」、血管ちゃんが「血管広げて圧力下げるね」と応じてくれる感じです。一度テレビ放送しているので素人にも理解しやすく構成もしっかりしてます。少しでも未来の医学や医療の役に立ちたいとの思いのあふれる内容です。2022/10/15
1959のコールマン
49
☆5。人類最大の謎であり、人類最大の興味、関心のもと、人体。この本はそれを余すこと無く、できるだけ分かりやすく書かれた最新の書物と言える。殆どの部分はテレビシリーズを補完した内容だが、内容は番組よりずっと深い。ぼ~~っと読んでいると訳が分からなくなるので熟読が必要だ。特に後半はかなり難しい内容になっている。注意。「ほんの10年ほど前まで、脳科学の大前提とされていたことが、最新の研究では、全く通用しなくなってきています」p202 「脳の活動は細胞同士の会話である」p203 他、所々箴言もあり。大推薦の本。2019/11/13
Kentaro
42
体の中を循環する血液の量には変動があり、多すぎるとポンプである心臓には負荷がかかる。そこで心臓は、全身の血液量を減らそうとする。ANPをメッセージとして発信して腎臓に知らせ、体内の水分を尿として排出してもらうのだ。こうして血液量が減ると、血圧も下がる。すると、心臓は楽になる。つまり、心臓がANPを出すのは「疲れたとき」。負荷がかかったときほど心臓はANPを大量に放出します。心臓と腎臓が連携することで、体を正常な状態に保っているのだ。 心臓を楽にするというANPの働きは、薬としても利用できる。2022/07/02
てん06
26
NHK特集「人体」の番組の内容を踏まえつつ、番組制作途中でのエピソードなども盛り込み、現時点での人体に対する研究の成果など。人体というのは脳がすべてを支配しているという過去のイメージが大きく変わる。ips細胞の研究の日常を読むと、人間が四苦八苦して臓器を作ろうとしているのに対し、人間の体はほぼ100%の精度で1つの受精卵から9か月あまりで人体を作ってしまうことへの驚き。最後のほうは流し読みしてしまったけど、それでも面白かった。2019/11/19
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