内容説明
〈死〉と、死への鎮魂として〈愛慾〉を対置し、男女の愛憎を、渇望を、あるいは寂寥を、審美的境地に昇華し、独自の美の世界をみせる短編集。恵まれた妻の座にありながら、激しい情念に身を灼く、女の愛のうつろいを描く〈夢のあと〉。父と娘の近親相姦を扱い、娘が父を殺すにいたる精神の流れを描く〈野づら〉。ほか7編の傑作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モモイロペリカン
1
立原の短編集は似たような作品の詰め合わせが多いけれど、この一冊は振り幅が凄かった。「相聞歌」が一番好きです。2022/03/27
アイマール
0
久しぶりに立原正秋の小説。 ・益子に移り住んだ陶芸家に想いを寄せる人妻 ・自殺した女性。彼女と交際していた青年 ・恋人の子供をおろした女性の心情 ・父親との近親相関に悩む次女 ・夫と死に別れた女の儚い恋 ・倦怠期の夫婦がハゼ釣りに ・江戸末期、元新撰組の永倉新八は、両国橋の上でかつての新撰組の盟友にあった際に、切られると直感した ・人気作家に手紙を送る、死を意識する女 ・膝下に火傷を負った美しい女性を、妻にする青年のひたむきな心2023/08/27