内容説明
現代文学のトップランナーが、AI社会をポップに描いたSFジャズエンタメ巨編!「僕の葬式でピアノを弾いて頂きたいんです」それがすべての始まりだった。電脳内で生き続ける命、アンドロイドとの白熱のジャズセッション。大山康晴十五世名人アンドロイドの謎、天才工学少女、迫り来る電脳ウィルス大感染…。平成の新宿から近未来の南アフリカまで、AI社会を活写し、時空を超えて軽やかに奏でられるエンタテインメント近未来小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
緋莢
17
<吾輩は猫である。名前は、ドルフィー。>2029年、出所不明のコンピュータ・ウイルスが蔓延。多くの命と膨大な量のデータが失われてしまう。ジャズ・ピアニストで、音響設計士をしているフォギーが世界有数のロボット工学者である山萩貴矢から、ある依頼を受けて…帯にある<SF+ジャズ+落語+ミステリ>、大森望が解説で、<〝おもちゃ箱をひっくり返したような”という形容がありますが、そのデンで行くと、本書はさしずめ、おもちゃ工場を一ダースばかりまとめて爆破して、その中身を東京ドームに ぶちまけたような小説である>(続く2024/05/01
kk
11
いやいやいや、奥泉先生、遊ぶ遊ぶ。これこそまさに「ビ・ボップ」ってことかな。と、ここでハタと思い当たったのは、これって、ひょっとして『鳥類学者のファンタジア』が本歌になってんじゃないの?やば、まだあれ読んでないよ、とり返しのつかんことしちゃったかな、とか思ったんですけど、このお話はこのお話でそれ自体面白かったんで、まぁいいや、そのうち気が向いたら読も、なぁんて、気分はすっかりフォギーさんです。とにかく、奥泉先生、凄いです。天才かも、とか思っちゃいました。(賛成してくれる人は少ないかもしれんけどね。)2020/05/07
白いワンコ
9
『雪の階』から『鳥類学者のファンタジア』『ビビビ・ビ・バップ』を再読。自分史上最も愛すべきヒロイン、フォギーの遺伝子を存分に堪能しました。未知の生体ウイルスがタイムリーに登場するものの、それは実にどうでもよくて(笑)、本邦でロンギヌス物質を扱う二大SF作品即ち「新世紀エヴァンゲリオン」とフォギーの物語の知名度の差を思えば、エヴァが完結した今、この先の未来はもちろんのこと、29virusの大感染で憤死したという池永霧子と山萩氏・山萩氏と木藤檜の物語などもぜひ物して頂きたく、切に奥泉先生へお願いする次第です2021/05/20
白いワンコ
9
いやぁ、スゴイ。近年読んだ小説では『図書館の魔女』に匹敵する面白さ。ありとあらゆるゴージャスてんこ盛りプロットがもたらす爽快感と含み笑い、これじゃマトモな感想なんて書ける訳ない。60年代と21世紀末の新宿を瞼の奥に浮かべつつ、2010年代末の新宿を目にできる幸福に感謝。最高絶対のオススメです!2019/06/26
タコチュウ
8
昔読んだニューロマンサーを思い出した。解説でもニューロマンサーが引き合いにだされているけれど違う観点から。主人公や登場人物はもっと軽いけれども面白かった。2020/12/16