内容説明
9条も日米地位協定も改定できる! 米国の覇権がゆらぐ中、日本はいつまで属国でい続けるのか? 反骨のジャーナリストが、怒りの法哲学者と紛争解決人と激論を交わす。戦後民主主義への疑問からジャーナリストとなった田原総一朗氏は、60年安保から安倍政権までの対米従属の歴史を総括。自国中心主義のトランプ時代に、日米関係は果たして国益なのかを多角的に論じる。歴代総理大臣(宇野宗佑氏を除く)とサシで議論し、本音を引き出してきた田原氏ならではの政治的観点を遺憾なく発揮する。井上達夫氏は、護憲派の「欺瞞」が日米安保の維持に貢献していることを論証。同時に、本来は自主防衛を悲願とする保守派が、いつしか親米保守にすりかわったことを指摘。「安保ただ乗り」どころか、在日米軍基地は米国の核心的利益であって、日本の国益ではなく、安全保障上のリスクを拡大すると主張する。伊勢崎賢治氏は、韓国でさえ成功した地位協定の改定交渉の最大の障害は憲法9条2項だと指摘。日本の主権回復前に締結された朝鮮国連軍地位協定によって、朝鮮戦争再開時に「戦争当事国」となる日本の現状に警鐘を鳴らす。平成の終わりに戦後日本の「ねじれ」を総括し、トランプ大統領・安倍晋三首相以降の日本の国家戦略を再定義。憲法改正論議の高まりとともに、国民的な議論を喚起する一書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
犬吉
4
あくまで立憲的に(というかごくシンプルで単純な論理でしかないのだが)問いを立てる井上、伊勢崎両氏と、「歴代首相や政治家はこう言ってたんだよ!」、「今までうまくいってたじゃない!」と経験論、寝技的な政治の話で混ぜかえす田原さんの議論の噛み合わなさが、この本の読ませどころかと。どこからどう読んでも、井上、伊勢崎氏の論の方が筋が通っているし、あるべき国の形だろう。でも、建前では立憲的なことを言いながら、裏で「寝技」というか、公然とその立憲主義、論理を破っている国家ばかりでもある(常に公正な国家なんてないかも)2019/08/18
matsu
3
対談集でありがちだけど、同じ話を何度もしている。論旨としては、憲法第9条による有事の立法がない点や、PKO派兵などでの問題点、日米安保条約と9条との関係、立憲主義についてなど。読みやすいけど論旨をまとめて話してほしいな。2019/06/16
百式改(公論サポーター東海)
2
田原総一朗が呼びかけてなった対談本 冷戦後の世界状況に取り残されている日本が浮き彫りに。政治家に働きかけろと言う田原に対し、国民の意識の変革が先だと言う井上達夫 改憲護憲の両派は媚米という奴隷根性に蝕まれていると伊勢崎賢治 噛み合っているのかいないのか。が、予定調和でない対談本は読んでいて面白く勉強になる。少国民世代の田原には日本人を信じ切れない思いが残っているのだろう。小林よしのりのいない処で『ゴー宣道場』の名が上がるようになったんだと感慨深い一冊2019/05/10
ラムダ
1
井上さんの話しは理性的で分かりやすい。田原さんはテレビ番組と同じ調子で混ぜ返したり、少しうんざり。2019/08/30
inu
0
井上達夫目当てで読んだけど、他の本に書いていることばかりでした。田原総一朗は本になっても朝生でした。2022/02/21