内容説明
29人の死傷者を出した、神宮ドーム火災事件。その公判直前に東京地裁の密室で、担当弁護士と判事が殺害された。やがてドームに被告の死体が……。これは司法への挑戦か!? 「正義は果されねばならない」という神の声を聴いた検事・佐伯は、事件を追う。謎は失踪した異端の建築家が造るドームにあった!? ダンテの「神曲」が底に流れる、壮麗な新本格推理巨編。「真の探偵は神である」――神に選ばれた検事が追う、神宮ドームに隠された連続殺人の謎とは?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松井和翠
5
ダンテ『神曲』に現代日本の司法制度の闇を重ね合わせるという壮大な構想がまず凄まじい。そしてその重いテーマを扱いながら決して停滞することのないリーダビリティがまた凄まじい。最終的な解決はやや抽象論理に偏りがちだったり、意外にせせこましかったりするのだが、取り敢えずそんなことはどうでもいいと思わせてしまう山田正紀の筆力が凄まじい。うん、凄まじい作品だね。2011/02/21
東晃
4
終わってみると「何故殺されたのか」ものだなーと思う。そして確かに『神様ゲーム』だった…… 星四つ2016/04/11
ドレミ
4
すごいページ数だけど読んだら納得がいく。トリックはう〜んというかんじだったけどストーリーは楽しめるし、できれば一気に読みたい作品。ダンテの神曲、一度読んでみたい。2010/10/12
Mark.jr
3
不可解な状況下での殺人などの本格ミステリーの謎。やや孤立している泥臭くハードボイルドな検事・佐伯神一郎の主人公像。日本の司法制度の題材にした社会派推理小説の姿勢。人が人を裁く権利があるのかと問いかける後期クイーン問題の要素。ダンテの「神曲」をなぞった幻想的雰囲気。そして、ショッキングな幕切れ。これらの要素を過剰なまでに詰め込みながらも、不思議と読後感に統一感を感じるのは、キャリアを積んだ著者の筆力の賜物でしょう。とにかく、凄まじいとしか言いようのない作品です。2020/02/06
魔魔男爵
3
本書のベストセリフ「マッチ擦るつかのま海に霧深ふかし身捨るほどの祖国はありや」(寺山修司)正紀にしか書けない反日ミステリの傑作。J・G・フィヒテの絶対真理命題「私は私である」をキチ○イ民族の日本人は理解出来ずに確固たる自我を持たない幼稚な日本人社会に警察検察司法の法と正義は実現不可能。神は探偵と犯人に憑依して法曹関係者の虐殺が始った!人間であるだけで罪人でR!SFだと解釈する人もいそうだが、探偵も犯人も精神異常者という超本格(変格)ミステリである。2009/11/02