内容説明
ある日突然、左の視界に現れた黒い点。
それは戦国時代に端を発する祟りの始まりだった……
呪われた一族の運命。「代々二人」の意味とは? 書き下ろし実話怪談!
〈お前は鬼から隠れたり追われたりする遊びをしてはいけない〉家族からきつく戒められていた少女が、ある時神社の境内でかくれんぼをしてしまい…「もう、いいかい」、結婚式で招待客の首にマフラーのごとく巻き付いていた炎。やがてそれは蛇のように新婦の手首に移ってきて…「人を呪わば」、ある日突然、左目の視界に黒い点が現れ、徐々に視力が奪われていく。それは祟られた一族の宿命であり、因果は戦国時代に遡ると言うのだが…「代々二人」他、負の念が呪となり禍をなす戦慄の43篇。伝説の実話怪談シリーズ「超」怖い話の最古参メンバーにして、現4代目編著者が手掛ける渾身の一冊!
著者について
加藤一
Hajime Kato
1967年静岡県生まれ。O型。獅子座。人気実話怪談シリーズ『「超」怖い話』4代目編著者として、冬版を担当。また新人発掘を目的とした実話怪談コンテスト「超-1」を企画主宰、そこから生まれた新レーベル『恐怖箱』シリーズの箱詰め職人(編者)としても活躍中。主な著作に『「忌」怖い話』、『「超」怖い話』シリーズ、『「極」怖い話』シリーズ(以上、竹書房文庫刊)、『怪異伝説ダレカラキイタ』シリーズ(あかね書房)など。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
211
加藤一さんは、最近は敢えて怖さを抑え目にした路線で勝負されておられるみたいな感じですね。ハード路線がお好きな方は物足りないなと思われるかもしれませんが、まあ強弱のバランスが取れて心の和みも感じられて私はいいと思いますよ。動物が大好きな方には堪らない一編ですよ。『躾は大事』映画のレイトショーの帰りに夫婦で自宅近くの山を切り開いて作った切通しに車が差し掛かると夜道の闇の向うに二つの光が見えて慌ててブレーキを踏んだ。「あ、狸だ」可愛い仔猫程の豆狸が道路の真ん中で立ち尽くし震えていると藪の中からもう2匹出て来た。2021/03/11
HANA
59
実話怪談集。怪談を書き続けて三十年、やはり安定した完成度を誇っているが、やっぱり安定しすぎて凄みのある話が少ないように感じられるなあ。一周回って凄みのある怪談より「さらざんまい」みたいな駘蕩とした雰囲気を持つ作品が、読んでいて特徴がよく出ているような気も。「リボン」の実験的な作風「石鹸神輿」みたいな最近の実話的な奇妙な話も交じってはいるものの、「そういう血筋」のような幽霊とか霊感といったものを大上段から扱った作品が多め。著者にはこれからも世の趨勢に流される事無く、独自の地歩を占めてもらいたいものです。2019/07/29
かおりんご
27
ホラー。思ったより怖くなかった。強いて心に残った話と言えば、寂光院で見たというカッパの話。場所は寂光院じゃなく、宝泉院じゃない?お皿があったという記述だったけれど、それカッパのお皿じゃなくて、ざんばら髪になって目立った月代じゃない?なぜ、こんなことを書いているかというと、数年前に秋のライトアップで宝泉院に行ったときに、落ち武者を見かけたことがあったから。宝泉院には血天井があるから、連れて帰っても不思議じゃないし。とにかく、嫌な気分がしたら、近寄らないに限る!2019/11/19
りらこ
22
怖さは抑えめ。控え目。強弓の者だった先祖の武功の被害者たちによる代々2人までどちらか片方の目を失う一族。目ばかり狙ったことの因果応報。先祖の何かによって因果応報が子孫にも来るなんて、壺を買っちゃうレベルだわ。家族のなかでわたしばかり病気や怪我をするのも何かあるのかしら?などと我が身に比して考えてしまうよ。屋根の上で踊る人?を見たらその家の人が、ってのはあるかも。あるのか?疑うこともないけど。町内で一軒おきにジグザグとお亡くなりになる家が出た時期があって似たようなことを囁かれたことがあったなぁ。2021/09/13
澤水月
12
狸…?いい! ラスト2話「人を呪わば」は心当たりありまくり胸が痛く、「代々二人」は遣る瀬無い、治療過程読むだけで悶絶2019/05/31