電力流通とP2P・ブロックチェーン ―ポストFIT時代の電力ビジネス―

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電力流通とP2P・ブロックチェーン ―ポストFIT時代の電力ビジネス―

  • ISBN:9784274223754

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内容説明

日本の新しい電力流通・取引!
 太陽光発電等の再生可能エネルギーの普及を目指し、2009年に固定価格で一定期間、電力を買い取る制度が始まりました。そして、2019年(10kW以上は2029年)以降、買い取り期間が終わる太陽光発電設備が続々と生まれています(ポストFITや卒FITと呼ばれています)。
 住宅用10kW未満の太陽光発電設備の場合、2009年には48円/kWh、2018年では26円に下がっており、FIT終了後の太陽光発電の買い取り価格は8円/kWh前後の価格帯で各社が提案をしています。
 このような価格帯になってくると、自宅に蓄電池を設置し、昼間は太陽光発電で充電、夜間には充電された電力を使用するということの経済的メリットが見えてきます。あたらしい電力流通が始まるといえます。
 本書は、太陽光発電等再生可能エネルギー設置者と需要家(住宅・企業等)とのP2P電力取引について、技術やブロックチェーン・機械学習の活用を解説します。
 電力関係者必携の書籍です。

※P2Pとブロックチェーン
 P2P(ピーツーピー)は、Peer to Peer(ピアツーピア)の略で、本書の場合は、発電者と需要家がそれぞれPeerであり、1対1の取引を意味します。
 ブロックチェーンは、発電者と需要家の1対1の取引の記録に使用します。改ざんされにくく低コストなシステムであるため、利用量等の記録に適切な技術といえます。

目次

まえがき
謝辞

第1章 日本の電力事情
1.1 日本のエネルギー事情に関して
 1.1.1 パリ協定(COP21)
1.2 日本の再生可能エネルギー事情
 1.2.1 固定価格買取(FIT)制度
1.3 再生可能エネルギーの目標コスト
 1.3.1 グリッドパリティ
 1.3.2 ストレージパリティ
1.4 太陽光エネルギー普及の障壁
 1.4.1 計画値同時同量
 1.4.2 系統電力の乱れ
1.5 本章のまとめ

第2章 あたらしいエネルギーの動き
2.1 分散型電源の持つ可能性
2.2 ディマンドレスポンス
 2.2.1 仮想発電所(Virtual Power Plant, VPP)
 2.2.2 ネガワット取引
2.3 蓄電池の普及
 2.3.1 電気自動車(EV)
 2.3.2 V2G/V2H
2.4 ビジネスモデルによる再生可能エネルギーの普及
 2.4.1 第三者所有モデル(Third-Party Ownership, TPO)
2.5 本章のまとめ

第3章 P2P電力取引システム
3.1 データ、電力のつながりの違い
3.2 P2P電力取引マーケットのレイヤー構造
3.3 P2P電力取引マーケットの参加者
3.4 P2P電力取引エージェント(計測、予測、入札)
3.5 P2P電力取引マーケット内でのやりとり
3.6 ブロックチェーンを利用したP2P電力取引システム
3.7 P2P電力取引の特徴
3.8 P2P電力取引における社会経済原理性
3.9 P2P電力取引に期待されていること
3.10 既存電力市場とP2P電力取引マーケットとの関係性
3.11 現存するP2P電力取引の課題
3.12 本章のまとめ

第4章 P2P電力取引の技術
4.1 P2P電力取引を実現するために重要な技術
 4.1.1 ブロックチェーン
 4.1.2 ブロックチェーンの価値
 4.1.3 価値移転を記録するデータベース
 4.1.4 自律分散型組織(DAO)
 4.1.5 ブロックチェーンが持つ問題
 4.1.6 P2P電力取引とブロックチェーン
4.2 電力業界における機械学習の利用
     寄稿:株式会社Sassor 田中 龍亮
 4.2.1 機械学習とはなにか
 4.2.2 機械学習の電力技術への応用
4.3 電力データのための機械学習モデルの構築
     寄稿:株式会社Sassor 田中 龍亮
 4.3.1 時系列の予測モデル
 4.3.2 予測モデルの構築例
 4.3.3 その他の時系列予測モデル
 4.3.4 電力需要予測の研究

第5章 P2P電力取引の事例
5.1 海外の事例
 The Brooklyn Microgrid
 Lition
 D3A
 Grid+
5.2 日本の事例
 Enection2.0
 Open Energy System
 浦和美園プロジェクト
5.3 この章のまとめ

第6章 日本の電力流通の未来像
6.1 顕在化しつつある電力インフラの老朽化問題
 6.1.1 次世代電力ネットワークへの移行
 6.1.2 自立コミュニティ増加による系統負担の低減
6.2 欠かせない再生可能エネルギーの活用
 6.2.1 系統との連携
 6.2.2 電力供給と販売の新たな取り組み
6.3 マイクログリッドが解決する課題
6.4 IoE(エネルギーインターネット網)と既存のスマートグリッド概念との違い
6.5 RE100への取り組み
6.6 P2Pで変わる電力会社と顧客の関係、地産地消、企業の地域貢献
6.7 マイクログリッドへの移行で求められる制度改正
6.8 日本における将来の形と世界への技術提供

索引
著者紹介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

M_Study

1
市場経済の仕組みから電力の未来を考える興味深い内容。日本もカーボンニュートラルに向かって2030年にCO2を46%削減という野心的な目標を掲げたが時間がないため大半は太陽光発電になる見込み。しかし天候に左右されやすく夜間は発電出来ない。有効利用するには細かい地域で蓄電も含めた需給調整が必要になると思われ、本書で説明されているP2Pビジネスモデルが役立つと思う。2021/08/08

micheldujapon

1
次世代電力事業の創造に繋がるテクノロジーとビジネスモデルをまとめた良書。VPPやDRといった電力固有の技術だけでなく、ブロックチェーンやアナリティクスについても丁寧に解説されている(まさかARMAモデルが出てくるとは思わなかった)。内容は専門的ながら丁寧に書かれているのでとても分かりやすい。2020/06/19

Mika Otomo

0
わかりやすくて読みやすい。目次もよい2020/04/05

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